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龍の末裔 第47話

2007-05-06 | 小説
今回の作戦にも、レヴィが同行することが、リムには事前に知らされていた。
しかし、レヴィは作戦前夜にリムのもとに現れ、
「お手並み拝見と行きますよ。陸上軍大佐殿・・・。」
と告げるとそれきり姿をくらませていた。
そのレヴィがいまさらになって現れたのだ。
リムにとっては、最も会いたくない相手だった。
自らの失敗を天才的軍師に指摘されるというのはもちろん腹立たしいことなのだが、それだけではない何かがこの男にはある。
まるで自分の心の闇までも見透かされているような・・・
レヴィの冷たい瞳を見ていると、そんな気がしてくる。

足音も立てずにレヴィがテントの中に入ってくる。
それは、もともとこの男が体重を持っていないかのようにも思えた。
そして、リムが向かっている机の上に腰を下ろした。
「今ごろ何をしにきた?」
テント内のランプに照らされ、レヴィの影が壁に大きく映っている。

「四十点というところでしょうか。」
傲岸不遜(ごうがんふそん)な物言いだったが、リムは無視をした。
「貴方の状況に応じた判断力と、先見性は素晴らしい。私も高く評価していますよ。ただ、貴方には一軍を統率するのは難しいようですねぇ・・・。」
「俺に統率力が欠けていると言いたいのか?」
「いえいえ、貴方にはこれだけの大軍を指揮するだけの才能がある。だからこそ今の地位におられるわけですよ。
ただねぇ、お父上と兄上があんな事件を起こしたとあれば、兵も素直には貴方の意見を聞かないでしょう・・・」

強烈なボディーブローだった。
きつくこぶしを握り締めながらも、リムは勤めて平静を装っていた。



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