有子曰「其爲人也孝弟而、好犯上者鮮矣。不好犯上而、好作亂者未之有也。君子務本。本立而道生。孝弟也者、其爲仁之本與。
有子曰く、「其の人と為りや孝弟にして、上を犯すを好む者は鮮し。上を犯すを好まずして、乱を作すを好む者は未だ之れ有らざるなり。君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝弟なるは、其れ仁の本為るか」と。
(孔先生の主要なお弟子のひとりである)有先生が仰った。「一族内での日頃の生活振りが、親に対しても兄に対しても自然と、あるべき振る舞いになっていて壊れていない人なら、これまでにも何人も見てきたが、そんな人が世に出てきて組織の人となった場合に、何かというと上意に逆らいたがるような、そんな人になるのを見たことはほとんどない。上意に異議を差し挟みたがると言ったところでそれは、世の秩序の乱れを好むというのとは異なる訳だから、そう問題視する必要もないのではなどと考える人も中にはいるかもしれないが、しかし、組織内にいて上意に逆きたくなるような場面に遭遇してもその感情を自然と制御できる、そんな人の中には、少なくとも、世の秩序の乱れを好むような輩がいたことなど、私の知る限り一度もないのだ。従って、世の秩序の乱れを好むような輩が世に出てきて酷いことになってしまうのを確実に防止しようと思うなら、上意に逆らいたくなるような場面でも気持ちを自然と制御できるような人以外は、君子として採用するのはやめておいた方がいいと思うのだ。ということは、一族内での日頃の生活振りが、親に対しても兄に対しても自然と、あるべき振る舞いになっていて壊れていないかどうかもまた、ある程度は採用の基準となる訳だ。そもそも君子とは、進むべき正道を常に全身全霊で探求し続ける者のことを言う訳だが、根本が崩れていたら、いくら全身全霊と言ったところで、正道の開かれることなどあるはずがない。だから、君子たる者は先ず、自分の根本の管理に務めるものなのだ。君子の正道とは、弱き者を慈しむこと。つまりは、仁のこと。世の秩序を乱してしまうと、いくら仁の道を開きたいと願って努力したところで、開けるはずもない。ということは、世の秩序の乱れを嫌う心の基盤になっていることの多い、上述したような孝や悌の心こそが仁の本ということにもなる訳だ。従って、親や兄に対する自然な敬愛、即ち、自分より優れた人に対する自然な敬愛が壊れてしまわないよう、親も子も、兄も弟も、努力しておかなければならないということになるのだ。壊れてしまったらもう元には戻せない。その時は、君子になって世に出て行こう、出て行かそうなどと儚い望みを持つことは許されないことになる」と。
有子曰く、「其の人と為りや孝弟にして、上を犯すを好む者は鮮し。上を犯すを好まずして、乱を作すを好む者は未だ之れ有らざるなり。君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝弟なるは、其れ仁の本為るか」と。
(孔先生の主要なお弟子のひとりである)有先生が仰った。「一族内での日頃の生活振りが、親に対しても兄に対しても自然と、あるべき振る舞いになっていて壊れていない人なら、これまでにも何人も見てきたが、そんな人が世に出てきて組織の人となった場合に、何かというと上意に逆らいたがるような、そんな人になるのを見たことはほとんどない。上意に異議を差し挟みたがると言ったところでそれは、世の秩序の乱れを好むというのとは異なる訳だから、そう問題視する必要もないのではなどと考える人も中にはいるかもしれないが、しかし、組織内にいて上意に逆きたくなるような場面に遭遇してもその感情を自然と制御できる、そんな人の中には、少なくとも、世の秩序の乱れを好むような輩がいたことなど、私の知る限り一度もないのだ。従って、世の秩序の乱れを好むような輩が世に出てきて酷いことになってしまうのを確実に防止しようと思うなら、上意に逆らいたくなるような場面でも気持ちを自然と制御できるような人以外は、君子として採用するのはやめておいた方がいいと思うのだ。ということは、一族内での日頃の生活振りが、親に対しても兄に対しても自然と、あるべき振る舞いになっていて壊れていないかどうかもまた、ある程度は採用の基準となる訳だ。そもそも君子とは、進むべき正道を常に全身全霊で探求し続ける者のことを言う訳だが、根本が崩れていたら、いくら全身全霊と言ったところで、正道の開かれることなどあるはずがない。だから、君子たる者は先ず、自分の根本の管理に務めるものなのだ。君子の正道とは、弱き者を慈しむこと。つまりは、仁のこと。世の秩序を乱してしまうと、いくら仁の道を開きたいと願って努力したところで、開けるはずもない。ということは、世の秩序の乱れを嫌う心の基盤になっていることの多い、上述したような孝や悌の心こそが仁の本ということにもなる訳だ。従って、親や兄に対する自然な敬愛、即ち、自分より優れた人に対する自然な敬愛が壊れてしまわないよう、親も子も、兄も弟も、努力しておかなければならないということになるのだ。壊れてしまったらもう元には戻せない。その時は、君子になって世に出て行こう、出て行かそうなどと儚い望みを持つことは許されないことになる」と。
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