※参考記録

日本百名山山頂宙返りを敢行中の【雪崩★マン】が綴る社会学的山岳エッセイ!

「中国、日本公館内で拘束」事件の問題

2002年05月09日 | 時事【current topics】
 『5/8中国瀋陽の日本総領事館に北朝鮮住民とみられる男女5人が入ろうとし、中国武装警察当局に拘束された』

 日本の報道によると、問題視している点は
「総領事館内に武装警察が侵入し、拘束、敷地外へ連行」したこと。
それは「在外公館の治外法権を保証するウィーン条約違反にあたり、遺憾」であり、
「5人の身柄の引渡しを求める」ことが日本側の主張である。
5人は第三国への亡命希望者のようだ。

 私は外交問題や国際法に関しては全くのド素人なので突っ込んだ意見は述べたくない。
しかし、私のような庶民の中には以下のような疑問を抱いた人は少なくないだろう。
警察官が侵入者を拘束、連行して何が悪いの?!

 この事件には二つの「三角関係」を考慮して論じる必要があろう。
 1.日本、中国、北朝鮮の主張、思惑、関係(国の問題)
 2.総領事館員、武装警察官、亡命希望者の主張、思惑、関係(当事者の問題)
 1.に関してはすでに動きがあり、日本は中国外務省に対し、
上記の通りの要求と抗議を行なった。
今日の国会においても川口外務大臣が遺憾の意を表明した。
中国側からの具体的な回答はまだない。
これらの日本の主張に関しては概ね異論はない。主権上当然の要求だし、
国際法に則ったものなので、中国は受け入れるのも当然と考える。
しかし“その後”の問題は簡単ではない。
亡命希望者の要求を受け入れ、日本が彼らを第三国へ出国させれば
北朝鮮はより一層日本への態度を硬化させ、
先月再開された日朝赤十字会談へも悪影響を及ぼす。

 しかし私が興味を持っているのは2.の問題。
 事件の同日、瀋陽の米総領事館にも北朝鮮からの亡命希望者2人が駆け込み、
館内に留まっているようだ。
さらに日本総領事館の事件では、警察官と総領事館員が
5人を連行する前に協議していたという報道もあり、非人道的だとの意見もある。
中国側だけでなく、日本側の当事者の行動の問題性も議論の対象だ。
 ここまではおおよそニュース報道で述べられていること。
私の興味の対象である「当事者」のことは報道ではわからない。想像と推論で述べていく。

 まず、事件を目の当たりにした「総領事館員」。
 「総領事館員」は5人を見て、北朝鮮からの亡命希望者であることはわかったと思う。
「彼らを侵入させたくない」と思ったのだろう。何せ相手は北朝鮮人。
ちょっとした対応ひとつで国際問題に発展しかねない相手だ。
煩わしいことには関わりたくない
対応による責任問題に巻き込まれるのも嫌だ。

 「武装警察官」は…。
彼らについては中国の国民性や警察官の意識などを細かく考える必要があろうが、
この際、日本人である私の素朴な感想を述べると、
彼らは武装警察官としての使命を果たしたに過ぎない。
総領事館内へ立ち入ったのは浅はかだったとしても、
侵入者を取り押さえるという行為自体は何ら非難されるものではなく、
むしろ積極的に評価されるべき行為だろう。
ひとつ指摘しておきたいことは、彼らも5人が
北朝鮮からの亡命希望者であることは一目見てわかったと思う。

 そして「5人の亡命希望者」。
北朝鮮人についてはいろいろ述べること自体がナンセンスな気もする。
テレビのインタビューを見ても「将軍様(金正日)のご健康を祈って毎日生きています」
なァんて真顔で応えている国民だ。彼らについて私の想像でモノを言うのは乱暴だろう。
しかし亡命希望者はその規範から逸脱した、つまり私の感覚で話のできる連中だろうし、
将軍様将軍様なんてアホらしい!俺達はしんどいんだ!食うものないんだ!この国ヤバイぜ!
と思っている人達でしょ。彼らは切実に、現状から“脱出”したくて
亡命を企てたのだ。
亡命の是非は議論の対象外として、私は彼らへ同情する気持ちはメチャクチャいっぱいある!

 つまり、現場の当事者は皆“正直な対応”をしたのだ。
むろん優れた、思慮深い対応でない場合もあるが、
国際問題・外交問題に発展するような対応や思惑はまるでない。
ひとつ私が言いたいことは、総領事館員だけ“積極的”な行動を取っていないように感じる。
こういう場面で“及び腰”で、主義主張をしないことこそ非難されるべき行為だ。

 私の想像と推論が正しければ、
彼ら三者の事情を全くわかっていない、理解しようとしていない三つの国がアホだ
「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!!」(by青島)

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