先日書いた
『加藤条治の世界新記録樹立』に加えて
2005年11月20日はスポーツ界にとって非常に収穫の多い
“明るい”材料の多い日となった。特に「日本」にとってよい一日だ。
これらが日本のスポーツ界の大いなる活性剤になってくれればよいが。
1.スピードスケート:加藤条治、世界新記録樹立!
19日、スピードスケートW杯ソルトレークシティー(米)大会
二日目で樹立した
「34秒30」(500m)という記録。
これがいかに凄いものであるかはこの種目をよく知っている人には
理解できるだろう。それまでの記録「34秒32」
(清水宏保選手が2001年3月世界距離別選手権で、今回加藤選手が記録を
出した同じリンク「五輪オーバル」で記録)
が“驚異的”となぜ言われたかも。
スケート靴は日々進化しており、現在は当たり前になっている
ブレードと靴の踵が離れる「スラップスケート」という靴も
10年前にはなかった。ちなみにスキーの「V字ジャンプ」も
僕が高校生の頃はなかった。
清水選手の記録はこのスラップスケートの威力と人間の限界を
示したといっても過言ではない。
特筆すべきは彼の年齢。まだ
20歳である。
清水が世界記録を出したときは27歳だったことを考えると末恐ろしい。
もちろん清水は日本のスピードスケート界の異端児であり、パイオニア。
であるから加藤の能力の影には清水の功績が大きいのだが、
それでも今後がますます楽しみであることには変わりない。
もう一つ、彼の
走りに僕は大いなる可能性を見た。
清水が世界記録を出した走りは、彼にとってもはじめての“感覚”で、
未体験の、まさに異次元のスピードだった。
最後のコーナーでは滑るのがやっと(転倒する限界ギリギリのスピード)
だったので、大きくアウト側へ膨らみ、多少タイムをロスしている。
しかし今回の加藤は最終コーナーを膨らむことなくスムーズに抜けてきている。
500mのうちの後半400mは出場選手中トップタイム!
清水は世界にも類を見ない身長162cmという小柄な選手。
彼は強靭な足腰を活かして誰よりも
空気抵抗の少ない低いフォーム
で走り、また同走選手の後に付けば、抵抗が少ない分誰よりも速く走れた。
加えて、『ロケットスタート』と言われた最初の100mの猛スピード。
これらが清水の速さを支える武器だった。
しかし加藤は清水や、もう一人の(第三の)日本が誇るトップ選手
及川佑らよりスタートダッシュが遅い。
それでいてこのタイムを出したのだ。なお加藤の身長は
世界のトップ選手では清水に次いで低い164cm。
スタートダッシュに清水のような能力が加われば間違いなく敵無しになる。
でも僕は清水の復活を願っている。
2.マラソン:高橋尚子、復活の優勝!
僕はテレビ中継を見ていて
不覚にも泣いてしまった。
舞台は“出来すぎ”ていた。
2年前、彼女の『マラソン6連勝』がストップし、二位に甘んじた
東京国際女子マラソン。
さらにその結果アテネ五輪の出場を逃した。
しかもそのとき負けた相手(優勝した選手)、
エチオピアの
エルフィネッシュ・アレムが今回も出場し、
終盤まで高橋と好勝負を演じた。
さらにさらに、彼女にとってのマラソンはその敗北以来2年ぶりなのだ。
優勝という結果に“驚き”はない。先日書いたとおり、
僕は世界に誇る日本の
超人的トップアスリートとして
彼女を挙げており、“フツーに”走れば、“必ず”優勝する選手である。
前回敗れた理由についても僕なりの分析はあるが長くなるので述べない。
ただ我々ファンはもちろん、誰よりも彼女自身が「勝利」を渇望し、
それをなしえたことに彼女と共に僕も心から喜んだのだ。
この二年間の努力、周囲の暖かい励ましや協力、それらは
メディアを通じて伝えられる“軽薄”な内容ではないだろう。
というのもそれらは彼女にしかわからないことだから。
3.フィギュアスケート:浅田真央、15歳で初優勝!
『素晴らしき快挙』といいたいところだが、僕にはいくつか
不安なことがある。
オクサナ・バイウル(ロシア、リレハンメル五輪金メダリスト)や
タラ・リピンスキー(アメリカ、長野五輪金メダリスト)
のようにならなければいいのだが…と思うのだ。
オクサナは16歳で、タラは15歳で金メダルを取り(世界の頂点へ)、
その後プロへ転向し(親たちが扇動(先導)し、金のなる木へ)、
活躍している(らしい)。
そりゃあアイスシューなどに出演し稼げるプロのほうが
五輪で金メダルを取るだけのアマチュアより儲かる。
しかしアスリートとしての能力は五輪金メダリストのほうが
はるかに優れている。
浅田がプロになるのは別に構わない。
ただ、五輪で金メダルを取り、その後も五輪に出場できるような
優秀な選手であり続けて欲しいと思うのだ。
報道などでご存知の方も多いと思うが、浅田は
次回のトリノ五輪には出場できない。
国際スケート連盟(ISU)の規定で五輪出場資格に
「前年の7月1日に15歳になっていること」とある。
浅田は9月25日に15歳になった。3ヶ月弱遅く生まれすぎた…。
そもそも、以前ISUの五輪出場規定に
「前年の世界選手権の優勝者は無条件で出場できる」
というものがあった。それに合致したのがオクサナとタラ
(*こう書くと共にアラスカ原産の魚のようだが)。
彼女たちは金メダルを取った。しかもタラは『史上最年少』というおまけつき。
しかしその後プロへ転向し、アマチュアスケート界は有能な選手を失った。
その結果新たに生まれた規定が上記のものである。
アホ臭いぜ!
優れた選手が五輪に出られないなんて!
ISUは「医学的な見地から規定の見直しはない」と言っているが、
そんなの詭弁である。
前述のような思惑があるのは間違いない。
だいたい人間の身体なんて十人十色なのだから
規定一つで皆同じ基準にみようというのが間違っている。
これ以上述べると、話が長くなるので簡単に言ってしまうが、
スポーツ界のルールはたいていくだらない!
F1だって毎年ルールが改正されているし、日本にとっては
スキーのジャンプなんて“日本潰し”そのもの。
皆さん(日本人)に馴染みがあるのでよく報道されているが
プロ野球だってそう。来年は「二段モーション禁止」だとさ。
横浜の三浦なんてあの投げ方が個性的で面白いんじゃん!!
それを禁止にするなんて…!!
結局
ルールはファンや選手のためにあるのではない!
ま、浅田真央ちゃんにはすくすくと立派に素敵な大人になってほしい。
ちなみにオクサナが金メダルを取ったリレハンメル五輪の開催は1994年。
このときのフィギュアスケート界はあの
『ナンシー・ケリガン対トーニャ・ハーディング事件』で揺れた。
4.ゴルフ:タイガー・ウッズと横尾要の激闘!
日本のツアー、ダンロップフェニックスゴルフにて、二連覇!
でも二連覇ということはあのタイガーは去年もこの大会に出場していたのだ。
「日本が世界に誇る」トップアスリートはすでに挙げたが、
アメリカが誇る、というか日本人以外では僕が
挙げる超人的アスリートの一人が
タイガー・ウッズだ。
ま、彼についてもあまり解説は無しね。ゴルフを多少知っている人なら
彼の強さが突出していることはあまりにも明白だ。
いやぁ、それにしてもこの試合は面白かった。
タイガーの強さが発揮された試合でもあり、横尾の頑張りが発揮された試合でもあった。
でも勝ったのはタイガーで、勝たなければ意味無しよん♪
まずは14番パー4の横尾。バンカーショットを直接チップインバーディー。
対するタイガーはパー。
ゴルフをよくご存じない方のためにちょっとだけ解説すると、
「パー4」は基本的に「パー」でよいホールなのだ。
というのも「ワンオン」の可能性はまず無い。たいていは「ツーオン」。
「パー5」も“攻めの基本”は「ツーオン」。
ということは同じツーオンなのに、一打少なくしなければならない。
それは難しいのでパーセーブが基本になるホールなのだ。
逆にパー4でバーディーが取れればかなり有利だしラッキー♪
この14番で横尾は首位のタイガーに並んだ!
しかし15番のパー4でタイガーは長く難しいバーディーパットを
ねじ込んだ。逆に横尾はボギー。一気に二打差ついてしまったのだ。
残り3ホール。しかも最終18番のパー5以外は
バーディーは難しい。横尾の勝ちの可能性はかなり低くなった。
ところがところが、続く16番のパー4で横尾がバーディー。
そして世界一の飛ばし屋タイガーが圧倒的に有利なはずの
ロングホールの18番でも横尾がバーディー。
対するタイガーは上がりの3ホール全てパーだったのだ。
ついに並んだ!プレーオフへ。
プレーオフはどちらかが勝つまで18番ホールを繰り返す。
1ホール目。タイガーがティーショットの際、左足を痛めてしまう。
しかもスリーオンして6m以上の距離のパーパットを残してしまう。
しかし執念でこれをねじ込んだのだ。このプレーオフ1ホール目が
この勝負のハイライトかもしれない。横尾もパー。
二人はこのあと2ホール続けてバーディーを取り合うという
“さすが”の勝負を繰り広げる。
そして4ホール目。タイガーがバーディー、横尾がパーで決着がついた。
タイガーに関してはもう
『さすが!』というしかない。
この試合で僕が見たのは
横尾の意地。
彼は2001年から3年間アメリカツアーに参戦していた。
思うような結果は残せなかったが、その成果がこの試合に表れていたと思う。
タイガーも横尾のことはもちろん知っていたし、マークしていたと思うが、
「すごい選手だな」と思わせたのではないだろうか。
またタイガーが
「日本はゴルフが成熟している。ファンがマナーをよく知っている。」
と言っていたのはうれしい限り。
いい選手がいるといいファンも育つ。逆も然り。
5.ゴルフ:宮里藍もやっぱり強かった!
大王製紙エリエール・レディースオープンゴルフで逆転優勝。
彼女について今日は多くは語らない。
今後に期待している選手なので、
今後偉大な成績を記録したときに大いに語ろう。
しかし彼女はすでに偉大な成績を残している。
日本ツアー史上最年少優勝など、
ゴルフ界の数々の記録を塗り替えた。
今大会の優勝で賞金女王争いでも不動裕理を抜いてトップに立った。
しかし彼女にとって賞金女王になることはたいして重要ではない。
来週に迫ったアメリカツアーの最終予選会が当面の目標。
したがって彼女はこれが今季最終戦になるので、はっきり言って
僕は不動が再逆転で賞金女王になると思う。
日本の女子プロゴルフ界で“圧倒的な力”を持っている選手は
不動と宮里の二人だけであるといっても過言ではない。
他の選手は雑魚である!!
二人もミスはするし、調子の悪いときはあるが、
乱暴に言えば、“フツー”に戦えば
二人以外に優勝の可能性は無いといってもよい。
しかも宮里は二十歳でこれから先のプレイヤーとしての人生は
ものすごく長い。それだけ可能性を秘めている。
彼女が目指しているのは賞金女王でもなければ、日本のトップに立つことでもない。
世界一の選手を目指しているのだ。
順風満帆にことが進むとは思わない。
しかし僕は先日述べた『日本が世界に誇るトップアスリート』に
宮里藍が将来仲間入りをすると思っている。