20階まで厚く低く垂れ込めた雲の切れ間から少量の雨が降り注がれていた。
僕の自宅は、西へ車で5分も走れば西東京市だが(つまり23区から出る)、
ここからは中野サンプラザが眼前に迫っていた。
新宿のビル群も池袋のサンシャインも手の届きそうなところにあった。
休みなので、
練馬区役所へ不在者投票にやってきた。
出張所や近所の庁舎でもできるのだが、
せっかくなので本庁舎へ数年ぶりにやってきた。
それに
“税金の無駄遣い”といわれる高層区役所を使い尽くしてやろうと、
前日からHPをチェックし、お昼は最上階の展望レストランでランチをとろうと
考えていたのだ。
レストランの入り口は綺麗だが、昔の洋食屋のようで古臭い。
おまけに、いまやホテルのレストランやラウンジにしかいないような
典型的な「黒服」もいた。
黒服以外は、これまた古臭い、生地の少ないカマータイプの
黒ベストを着た女の子たち。
白のエプロンを着け、頭になにやら被ると、メイドカフェの店員のようだ。
でも、入ったら
「お帰りなさいませ、ご主人様」とは言ってくれなかった…。
僕はパスタのセットを注文。パスタは3種類から選べ、
「トマトとバジルとケッパーのパスタ」をチョイスした。
期待していなかったが、これが結構美味かった。
ケッパーがほとんど入っていなかったのは残念だが、
やや細麺のスパゲッティーニで、ソースによく合い、
スパイシーな味付けもGoodだった。
さらに、感心したのは
食後のコーヒーに手を抜いていなかったこと。
やや酸味のある(ハワイコナか?)コーヒーで、最上階からの眺望も手伝って、
非常に贅沢な気分になった。リラックスしてしまい、100ページ以上残っていた
読みかけの村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』(下巻)を一気に読んでしまった。
とはいえ、“おすすめのレストラン”かといえば、さにあらず。
まず値段が普通(*高いわけではないが)。
ガーリックトースト、サラダ、パスタ、コーヒーのセットにしては普通の¥1,050。
サラダに水菜を使っていたのはよいが、ドレッシングが不味かった。
それに食器がダサい!まあ、店員の格好もダサいから仕方がないか。
近所のおば様方や年金生活者のためのレストランなのかもしれない。
それに、こっちは“プロ”である。プロの僕を唸らせるレストランはそうない。
しかし、眺望はサイコーである。