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‘綴れ’を織る時に使う 欠かせない道具のひとつ。
柘(つげ)の櫛である。 私達は「筋立て(すいたて)」とよんでいる。職人用語なのかな。
細かな模様を織る時は、杼で通したヨコ糸織り込むのに 爪を使うのだが、爪ではあくまで掻き寄せるというだけ。 爪で掻き寄せた部分は櫛でしっかり詰める。
‘綴れ’は 密度の高い厚みのある織物であるから、爪の指の力だけではとうていムリで、 爪掻きで適度にカタチを作りあげたところで 数段分まとめて この櫛で詰めるのである。ぎゅ~っと。
また、 模様を部分ごとに織りあげていくため 常に段差ができているので、 模様のヨコ部分の無地などを織る時など 框(かまち)で打ち込めないときは この櫛を使って無地を詰めることになる。
きっちり詰めないと、無地のところは(框で打ち込めるから)しっかりした厚みがあるのに 模様場のところだけ ぺらぺらっなんてことになってしまう。 常に同じ厚み……まだまだ修業の頃は これもひとつの難関やったなぁ。
で、 しっかり詰めようと あんまり力を入れすぎて 櫛をはじいてエライとこまで飛ばしてしまったり、櫛の歯を折ってしまったりなんてこともしばしば。櫛が歯抜けになっていたりする。 写真のも もちろん歯折れてるやろ…。
櫛の反対側のとがった部分は ピンと張られたタテ糸をヨコにザッと掻いて、織り込んだ糸を均等にならしたりするのに使う。 綴れ織りでのタテ糸は かなりキツく張るので はじくと 高めの気持ち良い音がする。
この道具も 模様を織る時はいつも手が触れているので だんだんと手になじんでくる愛着ある道具のひとつである。
そういえば…
柘の櫛で自分の髪をといたことってないなぁ。 また機会がある時に 自分用に購入してみようかしら。
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