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 本は私の人生の友・・・

『漆黒の象』

2016年03月09日 | 
著者 海野 碧(あお)

渋谷 道玄坂 路地裏の小さな軽食喫茶店のマスターが主人公。
元刑事で、ときどき探偵のような仕事もしています。

主人公は子どもの頃、両親と姉を失っておりますが、
大人になり、外からは見えない家庭や人の裏側を知り、
自分の家庭も、台風で家が倒壊して家族が犠牲にならなかった場合でも、
いいことばかり続いた保証はなかったのではないか、と思うに至ります。

>誰の人生にも、真っ黒な象にも似た運命に、いきなり踏み潰される、
そんな巡り合わせがあり得るのだ。
父は、そして母と姉は、幸せの絶頂で亡くなったのかもしれない。
むろん彼らには ずっと生きていて欲しかったし、
彼らも私とともに生き続けたかっただろう。
しかし起こってしまったことは起こってしまったこと。
記憶の中の両親と姉は、決して老いることのない笑顔で、
瑞々しい躍動感に満ちている。
それでいいんだ、と私は この歳になって初めて、
家族と突然 別れてしまった時の凄まじい喪失感と、
完全に折り合いをつけることができたのだった。

以前、志水辰夫の小説が好きで読んでいました。
こちらの著者は女性ですが、主人公の雰囲気が
少し似ているように感じました。



我が家のツバキの花が咲きました。
今日は部分日食が見られるということで、
日食グラスを探して用意しましたが、雨でした・・・。
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