「君らは、天才じゃあないだろう。凡人だろう。凡人が科学の上でオリジナリティーと呼ばれるものを発揮する道は一つしかない。まず、学部の学生の間に、徹底的に体系だった教科書的知識を勉強しなさい。その体系の上に何かユニークな真実をいくらか積み上げることができれば、それが凡人のつくり出せる最高のオリジナリティーだ。最新の論文に左右されちゃあいけない。論文は、本質的な問題で人がやってないところを見つけ出すために読むぐらいの気持ちでよい」と。
日本の大学は変なところだ。勉強しないことを格好がいいとする風潮がある。「学生時代は勉強しなかった」と威張る先生もいる。
続 ロマンチックな科学者 サイエンスにおける構成力/月田承一郎
教科書を読み込むという作業は、サイエンスにおける現在までの成果の歴史を辿る旅であると思う。
ネットで簡単に情報が得られるようになった今日、教科書を精査・精読している学生はどれくらい存在するだろうか。
教科書の一行に記載してある事実は、ある研究者の一生と言っても過言ではないと思う。
一人の研究者がどんな想いを馳せながら実験をしていたかということを想像しながら教科書を読むと、違った風景が立ち上がってくるかもしれない。