この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。
世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、
それぞれまっすぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。
それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えてはいないかもしれない。
でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。
二つの世界の呼応と調和がうまくいっていると、毎日を過ごすのはずっと楽になる。心の力をよけいなことに使う必要が少なくなる。
水の味がわかり、人を怒らせることが少なくなる。
スティル・ライフ/池澤夏樹
自分の内部世界と現実の世界を結合させること。
学問の世界、つまり脳内でモデル化された理論を森羅万象の世界に適応させること。
これがうまくいったとき、毎日を過ごすのはきっと楽になると思う。
でも世界の方からは歓迎されないかもしれない。
世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、
それぞれまっすぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。
それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えてはいないかもしれない。
でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。
二つの世界の呼応と調和がうまくいっていると、毎日を過ごすのはずっと楽になる。心の力をよけいなことに使う必要が少なくなる。
水の味がわかり、人を怒らせることが少なくなる。
スティル・ライフ/池澤夏樹
自分の内部世界と現実の世界を結合させること。
学問の世界、つまり脳内でモデル化された理論を森羅万象の世界に適応させること。
これがうまくいったとき、毎日を過ごすのはきっと楽になると思う。
でも世界の方からは歓迎されないかもしれない。