「あなたの心に打ち込まれた杭は、いずれは溶けますよ。でもぽっかりと空いた穴はいつまでも残るでしょう。それは痛み続け、そこを通る風音があなたを眠らせぬ夜もあるかもしれない。だけど私は、この痛みをいつまでも味わい続けていたいと思うのです。それが、私が生きてきた、そしてこれからも行き続けていくための、証となるからです。私の痛みは私だけのもの。私の空虚は私だけのもの。だれにも冒されることのないものを、私はようやく、手に入れることができたのです」
私が語りはじめた彼は/三浦しをん
読後、上手いなぁと思わず唸ってしまった。
まず構成が好きなスタイルだった。
複数の人間が織り成す関係と個人の内面との調和。
その縦糸と横糸が編む物語の流れ。
30代前半の若さで、直木賞を受賞した実力も確か。
あまりに完成された文章スタイルは、読書の勝手な解釈をする時間を与えない。滑らかで漆黒の文章は読者を強烈に引き込む。物語の最終的な決着を迎えない。それでいいし、それが当然だと思う。
この著者の他の作品も読んでみたいと思った。
私が語りはじめた彼は/三浦しをん
読後、上手いなぁと思わず唸ってしまった。
まず構成が好きなスタイルだった。
複数の人間が織り成す関係と個人の内面との調和。
その縦糸と横糸が編む物語の流れ。
30代前半の若さで、直木賞を受賞した実力も確か。
あまりに完成された文章スタイルは、読書の勝手な解釈をする時間を与えない。滑らかで漆黒の文章は読者を強烈に引き込む。物語の最終的な決着を迎えない。それでいいし、それが当然だと思う。
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