今年も蒸し暑く、ジメジメした季節がやってきました。
毎年この季節となるとホラー、怪談の類の動画を観てしまうのですが、"ホントだったらヤバそうだなあ!"という、リアルにコワイものや、スプラッター系などのグロ刺激の強いヤツは観ません。
昔からそれと隣り合わせとも言える、コメディへとアレンジが可能だったり、ファンタジーの要素のあるものが好きで、そういうのを探していたら、以前観ようと思っていて、ついその機会を逸していたまま、脳裏から離れていたタイトルが目に留まりました。
「四月怪談」88年公開。小中和哉監督。
この時分の邦画というのは、ほとんど縁がなくて、伊丹十三さんの「お葬式」など数本ぐらいしか観たことが無いのですが、小規模上映に留まっていたらしく、あまり話題になったという話も聞いたことがありません。
私はその題名からして、ひんやり感漂う青春映画みたいな認識しか無かったのですが、これがホラーでは全くなくて、ファンタジー.コメディ仕立てなのでした。
女子高生、初子(中嶋朋子)が、目が覚めると死後の世界とおぼしき空間に居て、目の前に扉が在ったので、開けて入ろうとすると、昔の航空隊のような格好の青年(柳葉敏郎)に呼び止められる。
青年の話では、そこは天国への入り口で、入ると現界での記憶はすべて消え去ってしまうという...初子には死んだという自覚もなく、肉体がまだ在るうちは生き返ることが出来るから、現界に戻りなさい、と諭す。
この青年は初子の指導霊か何かなのだろう。80年くらい前、気球の墜落で絶命してしまったという。
中々死んでしまったことを受け入れらない初子は、廃工場に連れて行かれ、天上から巨大な鉄材が落下したことを思い出す。
彼女は、それが元で死んだと勘違いしているが、実は一緒に落ちてきた弁当箱が頭に当ったことに因るのであった。(仮死状態だったことが伺われる)
彼女はそこで、その場所に入り込んでしまった経緯を思い出す。子犬が捨てられていたので助けようとしたのだ。
だがすでに肉体を持たない二人には助ける術が無い(それにしてもまだ十代の頃の中嶋朋子さんの透明感はハンパ無いi 子犬を撫でようとする手も透き通ってしまうほどだii)。そこで初子の高校の別クラスで「霊が見える」と豪語している、オカルト.オタクの変人少年に白刃の矢が立った。大人?版のシチュエーションならさしずめ心霊学者か、ヘンな心理学者といった役どころなのでしょうが、こういう人がこの種の物語ではいつもキーパーソンなのです。
果たして...本当に霊視が効くではないかi 霊が見えても落ち着いてノホホンとしてる...こういうキャラは、作品全体のゆったりしたムードにとても合致してるようです。
それでもこの変人、普段から現界とあの世のことが頭の中で交錯しているのか、ホントに霊なのかどうか半信半疑のよう...友人から初子の事故死を知らされ、ウインドウに写らない彼女を見て、その事実を確信する。しかし、彼は彼女に自分が、それでショックを受けているのでは、と彼女が心配するのを気遣ってか、悟られないように「明日、又学校で会おうなi」などと言って別れる...(ここが一番印象に残ります)
ラストは一寸このほんわかムードが一変して、ストーリーを盛り上げようと劇的になってしまうのが私的には残念でしたが、ダビにふされる直前で死体が行き返ったら、普通「ギャーi」と戦慄が走るところ、歓喜に包まれたのは、あの世の実情に通じた変人が、そのように意図せずともその場を誘導していたことに負っているのでしょう。
青年指導霊は、生前見つけられなかった、一番大切なもの"大切な人のために生きる(それは自分自身のためでもある)"ことをして、天国の扉に入って行く...
劇中でもそうでしたが、霊的存在というのは、今でも何でも"幽霊"という扱いなんでしょうか? だから怪談なの?
ザワザワした霊ばかりが霊ってもんじゃないです。スピリチュアルなものは、"見えた、聞こえた"という現象的な面ばかりでなく、内面、精神的(これもスピリット)と切り離されたものではないハズなのです。この作品からは十分にザワザワならぬジンジンとしたものも伝わってきました。
あくまでファンタジーなんでしょうけどね...しかし、ジンジンしてきたら、又本当に後ろから見えざる導きで後押しでもされようものなら、あの扉が開かないとも限りませんよ...。
毎年この季節となるとホラー、怪談の類の動画を観てしまうのですが、"ホントだったらヤバそうだなあ!"という、リアルにコワイものや、スプラッター系などのグロ刺激の強いヤツは観ません。
昔からそれと隣り合わせとも言える、コメディへとアレンジが可能だったり、ファンタジーの要素のあるものが好きで、そういうのを探していたら、以前観ようと思っていて、ついその機会を逸していたまま、脳裏から離れていたタイトルが目に留まりました。
「四月怪談」88年公開。小中和哉監督。
この時分の邦画というのは、ほとんど縁がなくて、伊丹十三さんの「お葬式」など数本ぐらいしか観たことが無いのですが、小規模上映に留まっていたらしく、あまり話題になったという話も聞いたことがありません。
私はその題名からして、ひんやり感漂う青春映画みたいな認識しか無かったのですが、これがホラーでは全くなくて、ファンタジー.コメディ仕立てなのでした。
女子高生、初子(中嶋朋子)が、目が覚めると死後の世界とおぼしき空間に居て、目の前に扉が在ったので、開けて入ろうとすると、昔の航空隊のような格好の青年(柳葉敏郎)に呼び止められる。
青年の話では、そこは天国への入り口で、入ると現界での記憶はすべて消え去ってしまうという...初子には死んだという自覚もなく、肉体がまだ在るうちは生き返ることが出来るから、現界に戻りなさい、と諭す。
この青年は初子の指導霊か何かなのだろう。80年くらい前、気球の墜落で絶命してしまったという。
中々死んでしまったことを受け入れらない初子は、廃工場に連れて行かれ、天上から巨大な鉄材が落下したことを思い出す。
彼女は、それが元で死んだと勘違いしているが、実は一緒に落ちてきた弁当箱が頭に当ったことに因るのであった。(仮死状態だったことが伺われる)
彼女はそこで、その場所に入り込んでしまった経緯を思い出す。子犬が捨てられていたので助けようとしたのだ。
だがすでに肉体を持たない二人には助ける術が無い(それにしてもまだ十代の頃の中嶋朋子さんの透明感はハンパ無いi 子犬を撫でようとする手も透き通ってしまうほどだii)。そこで初子の高校の別クラスで「霊が見える」と豪語している、オカルト.オタクの変人少年に白刃の矢が立った。大人?版のシチュエーションならさしずめ心霊学者か、ヘンな心理学者といった役どころなのでしょうが、こういう人がこの種の物語ではいつもキーパーソンなのです。
果たして...本当に霊視が効くではないかi 霊が見えても落ち着いてノホホンとしてる...こういうキャラは、作品全体のゆったりしたムードにとても合致してるようです。
それでもこの変人、普段から現界とあの世のことが頭の中で交錯しているのか、ホントに霊なのかどうか半信半疑のよう...友人から初子の事故死を知らされ、ウインドウに写らない彼女を見て、その事実を確信する。しかし、彼は彼女に自分が、それでショックを受けているのでは、と彼女が心配するのを気遣ってか、悟られないように「明日、又学校で会おうなi」などと言って別れる...(ここが一番印象に残ります)
ラストは一寸このほんわかムードが一変して、ストーリーを盛り上げようと劇的になってしまうのが私的には残念でしたが、ダビにふされる直前で死体が行き返ったら、普通「ギャーi」と戦慄が走るところ、歓喜に包まれたのは、あの世の実情に通じた変人が、そのように意図せずともその場を誘導していたことに負っているのでしょう。
青年指導霊は、生前見つけられなかった、一番大切なもの"大切な人のために生きる(それは自分自身のためでもある)"ことをして、天国の扉に入って行く...
劇中でもそうでしたが、霊的存在というのは、今でも何でも"幽霊"という扱いなんでしょうか? だから怪談なの?
ザワザワした霊ばかりが霊ってもんじゃないです。スピリチュアルなものは、"見えた、聞こえた"という現象的な面ばかりでなく、内面、精神的(これもスピリット)と切り離されたものではないハズなのです。この作品からは十分にザワザワならぬジンジンとしたものも伝わってきました。
あくまでファンタジーなんでしょうけどね...しかし、ジンジンしてきたら、又本当に後ろから見えざる導きで後押しでもされようものなら、あの扉が開かないとも限りませんよ...。