ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

地域でのネットワーキング論?(13)<計画の作成・実施過程>

2008年06月19日 | 地域でのネットワーキング論
地域でのネットワーキングでは、計画の作成・実施を進めていく上で、計画を支援してくれる体制づくりや、それを進めるための戦略や戦術が必要となる。これについても、エレン・ニッティング他の『ソーシャルワーク・マクロ・プラクティス』は、具体的でおもしろい。以下の過程について、いくつかの事例でもって、その展開過程が示されているが、ここでは、305頁から405頁のエキスのみを示すことにする。
 
 まずは、計画を進める支援体制を作り上げるために、①どのような仮説で行うかを明確にし、②全体としての関わってもらう参加者を考え、③計画を進めることの点検をし、④計画内容を決定することになる。さらに、それらを行うに当たって、一定の指針をもとにして、実施のための戦略や戦術を選ぶことになる。

ウィリアム・ブルーグマンの『マクロ・ソーシャルワークの実践法』では、「どうにもなりそうもない課題」は削除し、「どうにかできそうな課題」について、フォーラムやフォーカス・グループを活用して、解決策を検討していく。ここで示された解決策を、①政治的実現可能性、②経済的実現可能性(便益費用分析、費用対効果分析等)、③社会的実現可能性を評価し、ランクづけをするとしている(95~102頁)。

 これらをもとに、計画での活動内容を実際に実行していくことになるが、ここでは、①計画の目標を設定し、②導き出される結果を書き、③その計画の実施過程を示し、④実行し、⑤モニタリングし、⑥評価することになる。

 この著書で評価されるべきことは、「計画に基づく変化」に焦点をあて、具体的に地域や組織を変えていくかを明示していることである。こうしたことの一定のコンセンサスを得られれば、地域での計画づくりだけでなく、多様な方法でもって、ネットワーキング機能を高めていくことができると考える。さらに、評価すべき点は、それぞれの段階で、行うことを具体的に記述することが強調されており、住民や他の専門家にソーシャルワーカーの仕事、あるいはネットワーキングの内容や意義を理解してもらっていくことに有効であると思った。

 ピンカス・ミナハンの『social work practice : model and method』の再読と同時に、本著をじっくりと読むことで、実践への方向づけをしていくことが可能なような気がする。




Social Work Macro Practice

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マクロ・ソーシャルワークの実践法―ソーシャルワーカーはいかにその活動を拡げるか?
ウィリアム・G. ブルーグマン
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