鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

Vol.195『イエスの心が動揺するとき』(13章)

2007年04月01日 | ヨハネ伝解読

本日の聖句はこれです。

                                        
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=聖句=
 「イエスがこれらのことを言われた後、深く心を動揺させられた。そしてこう公言された『諸君に真理を言います。諸君の中の一人がこれから私を裏切ります』」(13章21節)
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 この21節からは、イエスがユダの裏切りを預言する場面に入ります。ヨハネはこの時の状況を記述するのに、10節分ほどのスペースを当てています。

 ヨハネはまず~~

 「諸君のうちの一人が、私を裏切ろうとしています」(21節)

 ~~とイエスが言おうとするときに、「深く心を動揺させられた」と記しています。全てを見通しているイエスが、どうして心を動揺させるのでしょうか? 本日はこれを考えます。


                    


考えられる理由の一つは、みんなが激しいショックを受けるのがわかるから、でしょう。

 12人の弟子たちは、3年間近く、共に旅暮らしをしてきたのです。イエスの新しい教えを述べ伝えるべく、時には馬鹿にされたり、野宿して旅をしたりしてきた。苦労を共にして生きてきました。


 その仲間の一人が、こともあろうに先生を裏切るとは・・・。弟子たちには激しい衝撃でしょう。こういう衝撃を与えることがわかっているからイエスの心は動揺した、という推察です。


                    


 だが、おそらくそれは本質的な理由ではないでしょう。もっと深い理由があると思われます。


  この「ヨハネ伝解読」でははじめて言うことですけれど、聖書には「『創造主から出た言葉は、現実を従わせる』すなわち『必ず実現する』という鉄則」があります(このあたりの詳細は、拙著『誰もが聖書を読むために』新潮選書を参照してください)。


 そしてイエスは「私の言うことは父なる創主が語っておられること」といっています。父なる創主と完全に意識が共鳴しているのです。すると、イエスの言葉にも創造主と同様な力がある道理になります。


                    


 そのイエスから「誰々が私を裏切る」という言葉が出たら、どうなるか。もう、現実はそれに従うしかない。もう、当人は気がついて悔い改める可能性を、完全に失うことになります。


 イエスは、ユダが以前より自分の精神世界の外にいることを知っています。だが、ここまでは、ユダが悔い改めてイエスワールドに入る道は残されてきました。


 ところが「裏切る」というその言葉を口から出せば、もうユダは悔い改めの可能性を断たれることになる。ユダの心は悔い改めが(したくても)出来ない状態になり、ストレートに裏切りの行動に入っていきます。イエスが心を動揺させたことの根源的な理由はそこにあると鹿嶋は解します。


                    


 イエスが、わかっていても心を動揺さすことは、以前にもありました。
 前の11章でラザロを生き返らせようとした時、イエスが激しく心を動揺させられた、とヨハネは記しています。


 これも状況が一転していく時に起きています。


 死んで四日もたったラザロを、衆人の前で生き返らせることは、世の勢力に対するイエスの宣戦布告でもありました。本山エルサレムの近郊でこれをやったら、イエス人気はエルサレムの神殿でも沸騰します。

 そうなればもう、ユダヤ教の高僧たちは従来のようにイエスの活動を見逃しておくことが出来なくなる。殺すしか無くなるのです。


  するとイエスの十字架刑死を含む一連の事件が、実現していきます。ドミノ倒しのように展開します。その入り口のテープカットが、ラザロを生き返らせるという仕事でした。

  これを契機にイエスには、拷問を受け殺される、というすさまじい事態が始まります。それを前にして、イエスの心は、やはり騒いだのでしょう。新しい局面を開始するとき、イエスの心は(一時的ながらも)揺れ動くようです。

                    

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