MAYURI SHOJI
体当たりリポーターの取材日記
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庄司麻由里のカッパすいすい

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今日のいちおし!?/?2006年07月03日 11時54分16秒
上質なコメディで、頭がふんわりほぐされました

みなさんは、お芝居はよく行かれますか?
私は、演劇学校に行っていて、その道を目指していたくらいですから、芝居は大好き!
学生のときは、アルバイト代をつぎ込んで、それこそ毎週のように劇場に通ったものですが、仕事をするようになり、いつロケが入るかわからないスケジュールなので、芝居のチケットを取っても急に行かれなくなったりすることが何度かあって、最近は残念ながら行く機会が少なくなってしまいました。
それでも、年に何度かは舞台を見に行きます。私は、難解な不条理劇といわれるタイプは苦手で、わかりやすい芝居が好き。中でも劇団四季は大好きです。というのも、木馬座の人形劇を卒業して、最初に見た本格的な芝居が、小学校2年の時の、劇団四季のこどものためのミュージカル「オズの魔法使い」でした!あれは楽しくってきらびやかで夢の世界で以来舞台の魅力にどっぷりはまり、4年生のときに見た「ゆかいなどろぼうたち」の舞台では、泥棒兄弟の末の弟を演じた役者さんに私の幼いハートはすっかりときめき、幼心に、初めて「切ない」というような感情を覚えたような気がしていました。
それからしばらくして高校3年生になった私は、ピアノの先生に薦められて劇団四季の「コーラスライン」を観に行って、あまりのすばらしい舞台にすっかり感動してしまったのですが、そのとき、ひとりの役者さんを見て、忘れていたあの感情を思い出したのです・・・・「あれ・・・?」???
家に帰って古いパンフレットを引っ張り出して確認したら、「あぁやっぱりそうだあの泥棒の末の弟役を演じていた役者さんだ・・・」その方こそ、だれあろう、市村正親さん!もちろんみなさんもご存知でしょう、今では日本を代表する舞台俳優、ミュージカルスターですよね。でもきっとあの35年ぐらい前の「ゆかいなどろぼうたち」の舞台では、まだまだ新人だったことでしょう・・・そのときから、やっぱりあの方は舞台で強烈なオーラを発しておられたのでしょうね・・・・・・・・
それ以来、市村さんの舞台はもちろん、また市村さんが退団されたあとも、劇団四季の舞台をよく観にいきます。
あそこの劇団は「オペラ座の怪人」や「キャッツ」「ライオンキング」など、演目にブロードウェイミュージカルが多いので、ミュージカル劇団だと思っていらっしゃる方々も多いようなのですが、ストレートプレイと呼ばれる、ミュージカルではない普通のお芝居も上演されます。
・・・・・ということで、私が久しぶりに先週観てきたのは、そのストレートプレイの
劇団四季の「ブラックコメディ



これは、イギリスの劇作家ピーター・シェーファーの作品です。彼の戯曲というと有名なのは、劇団四季でも何度も上演している「エクウス」を思い出す方もいるかもしれません。「エクウス」は悲しい、ちょっと怖い、重たい作品でしたが、この「ブラックコメディ」はもう、まったく作風の違う、
おかしくって、しゃれていて、本当に楽しい舞台でした!

・・・・売れない無名の前衛彫刻家ブリンズリーと婚約者のキャロルにとって、今日は人生においての勝負の日というのも今夜、大金持ちの美術収集家が彼の作品を見に来るというのです。彼に認められれば、この貧乏暮らしからぬけられると喜ぶふたり・・・!ところが間の悪いことに、キャロルの厳格な父親まで、娘の婚約者にふさわしい暮らしをブリンズリーがしているか、見に来るというのです!
さあ、富と名声と愛を手に入れられるかどうかが今夜決まる!というので、なんとブリンズリーは、隣に住むハロルドの部屋から、高価な家具や美術品を無断拝借して、彼のボロアパートをかざりたててしまいます。さあ、客を迎える準備が整った、と一息ついたそのときっ!
なんてこった!突然アパート全体が停電に!
うわー!真っ暗でなんにも見えない
・・・・・
・・・・と、このあと、とんでもないことが次々起こっていくというストーリーなのですが・・・・・

まず、この芝居、幕が上がって観客は、きょとんとします。だって舞台上が暗くてよく見えないんですもの・・・・それでも役者さんたちは何事もないように、普通に会話し、動き回ります。そして、ヒューズがとんで停電になったとたん、舞台は煌々と明るくなるのです!ところが逆に舞台上の役者さんたちは「真っ暗で何も見えない」という状況を演じていくのです。つまり停電という状況を、明暗逆転であらわしているのですね。これがもうおかしいの、おかしくないのって!このあと、真っ暗な部屋に思いもかけない訪問者が次々とやってきて、とんちんかんな取り違えが起きていきます。この次々に起こるハプニングに笑いっぱなしなのですが、けっしてドタバタ劇ではなく、暗闇の中、主人公の本音や嘘、浅ましさ、愚かさ、欲望、裏切り、悩みなどが明るく照らし出されていくところが、この戯曲の醍醐味でしょう・・・・さらに、この舞台は役者さんたちの演技力がものすごく問われるものだと思うのです。だってなんたって、真っ暗で何も見えない中、いろいろ画策して動き回っているというシチュエーションを演じなくてはならないのですから・・・・でも皆さん、演出家の計算しつくされた動きを自然に体現していらしていて、ひとりひとりのキャラクターもおもしろく、チームワークもすばらしくて、これは、とっても細かく稽古を積んで、練り上げられた舞台だな・・・と感じました。
このような上質の、しゃれた、練り上げられたコメディを久々に観て、もう大満足・・・
クスクス、アハアハ笑って、頭がふんわりほぐされて、満たされた気分で劇場をあとにしました。
ちなみに、この「ブラックコメディ」は7月23日まで自由劇場で上演していますので、ご興味のある方は行かれてみてはいかがでしょうか?

この演目に限らず、いいお芝居って、非日常を体験できるのと同時に、また、映画と違うところは、なんたって生の迫力があり、その限られた空間の中で、どんどん世界が広がっていって想像力をかきたてられるところが、たまらない魅力ではないかと思うのですが、みなさんはいかが思われますか?


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