ししょたま

司書資格を取得したので、
のんびりまったりな日々を少々。

読後感『ジェネラルルージュの凱旋』

2014年04月18日 | 私の本棚
海堂尊『ジェネラルルージュの凱旋』

舞台は東城大学附属病院の救急救命センター。
ジェネラルルージュと呼ばれるセンター部長の速水にまつわるお話。ある日、田口のもとに
「速水部長は業者と癒着している。花房看護師長は共犯だ」という告発文が届く。
院長の高階に頼まれて、田口を敵視しているエシックス委員会に問題を持ち込む羽目になる。

容疑をあっさりと認めてしまう速水に審議不能となったエシックス委員会から、田口が委員長
であるリスクマネジメント委員会に審議の場は移る。

救命センターをやめようと辞表を出す速水は、後任者として腹心の部下である佐藤ちゃんを指名して
さっさと去ろうとするが、田口は磐石と思われた速水の目論見を「せこい手」を使って
ひっくりかえすのだった。


***

この本は、医療ミステリーではないといっていい。
今回の物語の見どころは、会議と救命シーンの2つ。殺人も起こらない。
でも、圧倒的な面白さで読者を引っ張ってしまうのだ。読み終わるのがもったいないくらいだ。

この会議でのやり取りが非情に面白い。それは、登場人物たちの個性や人間関係が垣間見えるから
なのだが、今回はこの会議での様子が物語りの一つの大きな見どころである。病院内の力関係、
肩書きの権限と責務、そんな中で田口は速水という同期を助けるべく奔走するのである。

もう一つは、最後に訪れる炎上火災の救命シーンである。ICUやホールで行われる救命医療現場の
パニック状態とそれを支配し、迅速に指示を出す速水の神がかり的な差配が読んでいてしびれる。

今回は白鳥の出番は少ないが、要所要所にはきっちりいていい味をだしている。
私としては、バチスタの栄光よりも断然こちらの作品のほうが面白かった。
繰り返し読んでも楽しめそうだ。

私は、ドラマ版も映画版も見ていないのだけど、ずいぶん話しが違っていたようですね。
でもこの原作を忠実にドラマ化するとなると大変なのかもしれない。
今、主要メンバーをどの俳優さんがやったらイメージどおりか、「理想のキャスティング」を考え中。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿