ししょたま

司書資格を取得したので、
のんびりまったりな日々を少々。

読後感『ナイチンゲールの沈黙』

2014年05月15日 | 私の本棚
海堂尊『ナイチンゲールの沈黙』

東城大学医学部附属病院の小児科が舞台。
不定愁訴外来の田口もいつもどおり仕事中。
忘年会で大賞を取った小夜と翔子の看護師二人は、男に誘われて伝説のディーバ、
冴子のライブへ行くことになった。彼女の「ラプソディ」の歌声に心を乱される小夜。
だが突然冴子が倒れ、東城大学医学部附属病院への搬送に付き添うことに。

小夜は、小児科の看護師で担当する2人の子供はレティマで眼球摘出を余儀なくされる運命だ。
二人のケアのため、田口が、子供版不定愁訴外来を開く羽目になった。

子供のうち1人は5歳のアツシ、もう一人は14歳の瑞人だ。
瑞人は父と2人家族だが、父は病院に顔を見せず手術の同意書もとれないまま、病院は頭を悩ませる。
そんな時、その父親が殺された。

警察庁から出向中の加納警視正と玉村警部補が捜査を始め、あの白鳥調査官も加わって捜査は
にぎやかになる。
歌の不思議な力がキーであり、冴子と小夜の二人の歌姫が重要な役を果たす。


***

犯人は容易に分かる(そうとしか考えられないから)。むしろ今回は歌の力のほうがメインの
ストーリーですね。

脳の機能は分からないことのほうが多いから、非現実的だとは言い切れないけれど、歌を聴いて
聴衆が同じイメージを見るとかイメージを伝えるというのは少し時代の先を行っているのかなと思う。

今回は白鳥調査官の学生時代の腐れ縁として、警察庁から出向中の加納警視正が登場する。
『ジェネラルルージュの凱旋』で出てきた、田口、速水、島津の腐れ縁トリオといい、登場人物の
輪郭がより際立って楽しい。丁々発止のやり取りも魅力的。

この本は、犯人が誰かということよりも、むしろたくさんいる登場人物のそれぞれの「動き」を
追っていくほうがより楽しめると思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿