マツダ・ロードスターRFに感銘した後。
尾車氏の進言により向かったのは、プジョーのお店。
クリーンディーゼルエンジンを搭載する「308 GT BlueHDi」(6AT:税込車両本体価格354万円)を、この目とこの手足とこのお尻で確認させていただくことに。
春の陽光を受け、マグネティック・ブルーのそのクルマは、忠犬のように佇んでいた。
2.0リッター4気筒DOHCターボディーゼルエンジンは、180ps/400Nmを発揮。
JC08モード燃費は20.1km/Lである。
セールスマン氏に、エンジンを掛けていただく。
排気ガスは無色無臭で、黒煙とはまったく無縁である。
とはいえ、アイドリング音は、かつてのディーゼル車ほどではないにしろ、「旧いガソリンエンジン車」といった程度で、それなりに響く。
車内に乗り込んでしまえば、ディーゼル音はほとんど気にならないレベルで、不快な振動もほぼ感じない。
メーターパネルは、ステアリングの上から俯瞰する感じ。
スピードメーターと逆方向に回るタコメーターが、近年のプジョー車の特色である。
シートは低反発枕的な張りがあり、体を面圧で受け止めるタイプだ。
シフトレバー後方には「エンジンスタートボタン」「スポーツモードスイッチ」「エレクトリックパーキングブレーキ」が配されている。
地味に驚いたのが、フロントドアスピーカーの「DENON」の文字!
私の遠い記憶では、「DENON」はスピーカーよりもレコードプレーヤーに強いメーカーだったハズなのだが・・・
そして、タッチパネル式の空調コントロール。
これも時代の趨勢なのかもしれないが、手探り操作性は皆無である。
これは、個人的には、極めて残念だ。
さて、走り出してみる。
小径のD型ステアリングは太目のグリップで、スポーツ心を高揚させる。
さすがにディーゼルエンジンだけあって、低回転からトルクに富んでおり、関取のような力強さで粛々とそれは発進した。
「アスリートの筋肉のような芯のあるしなやかさ」を感じさせる、その脚回り。
そこに、私はかつての落合博満のバッティングを連想した。
「向こうに押してシフトダウン・手前に引いてシフトアップ」のATマニュアルモードのロジック。
加減速Gに即したこの考え方は、この間まではBMWとマツダしか採用していなかった。
だが、ここにきて、とうとうプジョーが、そのロジックを導入した。
極めてこれは正しく、他メーカーも早くこうすべきだと、私は強く思う。
そして、「スポーツモード」のスイッチをONにする。
メーターパネルの照明はホワイトからレッドに変わり、私のハートもレッドゾーンに!
動力性能自体も活発になるのはもちろん、排気音さえも、一気に賑やかになる。
錯覚かもしれないが、エンジンそのものの回転フィールすらも軽快になり、高回転型エンジンに生まれ変わったかのような印象。
これはまさに、「スポーツ・ディーゼル」!
「プジョー308 GT BlueHDi」は、当初の私の想像以上に、愉しいクルマであった。
フランス車にしてはエクステリアデザインがやや地味な点と、スペアタイヤ未装着であることは、惜しい。
だが、VWゴルフではなくこの308を選ぶことに、大いに意義はある。
約3年ぶりに運転させていただいた、新車のプジョー。素晴らしかった(^^)