Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

少子化

2006年01月27日 00時00分47秒 | 時事・社会
世の中に完璧・オールマイティな人間はいませんから、その人に
対する評価もどこを見るかによって変わってきますが、ネガティブ
なイメージを持っていた人を再評価するのは、逆のパターンに
比べると稀な気がします(少なくとも私の場合は)。
最近では、経済学者の森永卓郎氏がそれに当てはまります。
森永氏のあの独特のキャラは、どうも好きになれませんでした。
彼が憲法9条擁護派だというのは知ってましたが、「TVタックル」
などで他の出演者から寄ってたかって叩かれ馬鹿にされる図は、
護憲派のマイナスイメージを増幅するだけのような気がして、
見るのが嫌でした。それに、昨年6月27日記事「BSE」に匿名で
書きましたが、彼は吉野家愛好家で「牛丼は伝統ある大衆食」
とTVで語り、米国産牛肉の輸入早期再開を訴えていました。
食の安全は彼の専門分野ではないにしても、経済学者なら
米国産牛肉がなぜ安いのかくらいはきちんと調べてから物を
言ってほしいと思って、それ以降彼の言動は無視していました。
しかし、「報道写真家から」というブログの中で彼を取り上げた
記事があって、そこに紹介されていた森永氏のコラムを読んで、
経済政策に対する分析の鋭さと、芯の強さを知って大変驚き、
そして彼を見直しました。

その森永氏のコラムの最新記事(1月23日)のテーマが少子化
対策だったのですが、これもなかなかユニークでした。そして
共感を覚えました。
私の周りの子持ち家庭を見ると、3人以上子どもがいる家庭が
意外と多くあります。よく「3人目の壁」とか言われ、3人目から
手当などが支給(増額)されていますが、産む人は結構産んで
いる、というのが私の実感です。むしろ、1人子どもがいて2人目
で悩む人や、子どもがいないカップルのほうが多いと感じます。
(我が家もそうだし。)
森永氏はコラムの中で、「生涯完結出生児数」(結婚して生涯に
生む子供の数)は1987年の2.19から2000年は2.14とほとんど
下がっていない(合計特殊出生率は1.69→1.36)ことを明らかに
しています。
要するに、結婚しない(できない)人が増えたことが少子化の
最大の理由なのです。
「負け犬男性」に限定した論理展開や、終身雇用制度の復活を
解決の切り札とする辺りは、同意しかねる面もありますが、その
場しのぎの小銭ばらまきではなく、所得控除や社会保障の拡充
によって崩壊しつつある「家庭」を再生させなければ、根本的な
解決には至らないでしょう。
(なんて言うと「封建的」とか批判されそうですが・・・)

そういえば、猪口邦子少子化担当相が「フリーバース(出産費
無料化)を広く検討することは視野に入る」などと訳の分からぬ
発言をしてましたっけ。大学教授も政治家になった途端、政治
用語を使うようになるんですね。
現在でも30万~35万円ほど健康保険から支給されてますから、
地域によっては多少足が出るにせよ、贅沢言わなければさほど
変わらない気がするのは私だけ? これで健保の財政状況が
改善されれば社会不安は減るのかな。でもその分国の歳出は
増えるから、いずれは増税されるわけだし。
3歳未満の乳幼児に対する「育児手当」の新設や6歳未満の
乳幼児への医療費無料化なんてのも、自治体独自にやってる
ところが多いですから、結局歳出科目の付け替えに過ぎないん
ですよね。今まで受けられなかった高所得者とかには朗報かも
知れませんが。
それよりも給食費を含めた義務教育の完全無料化とかのほうが
効果的な気がしますが。(財源の問題はありますけど。)