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Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

岩国市長選が終わって

2008年02月11日 23時25分09秒 | 時事・社会
10日に投開票された岩国市長選挙は、新人の福田良彦 前衆院議員が井原勝介 前
市長を破るという結果に終わりました。
投票率は周辺町村合併に伴う前回選挙を11.17ポイントも上回る76.26%でした。
その前回も争点は艦載機移転だったこと、今回の両氏の票差が僅か1,782票だった
ことを考慮すれば、市民の関心の高さと真っ二つに割れた民意を窺い知ることができ
ます。福田氏の主張も見方によってはそうですが、選挙結果も単純に「移転容認」と
は言い切れません。
検索したら北海道新聞の社説を見つけましたが、彼の地においてもかなり的を射た
論評でしたので、引用しておきます。


岩国市長選 民意をどう読み取るか (北海道新聞社説 2月11日)

 市民には苦渋の選択だったに違いない。
 米空母艦載機移転の是非が争点となった山口県岩国市の出直し市長選は、移転
容認派の前衆院議員福田良彦氏が大激戦を制して初当選した。
 しかし、この選挙結果から、市民が納得ずくで移転を認めたと判断することはでき
まい。
 敗れた前市長の井原勝介氏は、騒音被害や米兵によるトラブルへの不安が増す
と、移転に反対してきた。井原氏の主張を支持する民意は一昨年、住民投票と市長
選の二度にわたって圧倒的な数字で示されていた。
 今回も共同通信の出口調査では、移転に「反対」が41%にのぼり、明確な「賛成」
は17%にすぎない。
 問題は37%を占めた「やむを得ない」という声だ。政府のアメとムチの政策がじわ
りと市民を締め上げていることの効果と見なければなるまい。
 全国の地方自治体の例に漏れず、岩国市も台所事情は厳しい。市の借金である
市債は一千億円を超え、財政再建は急務の課題だ。
 そこに追い打ちをかけたのが政府の補助金カットだった。移転に反対しているから
と、市庁舎建設の本年度分の支給が止められてしまった。米軍再編計画を受け入れ
た自治体に配分される交付金も出ない。
 自民、公明両党が支援する福田氏は国政とのパイプ役を強調し、財政の立て直し
を前面に掲げる戦略をとった。
 告示前は井原氏優位といわれた情勢が逆転したのは、移転問題にとりあえずは
目をつぶってでも地元経済をなんとかしてほしいという市民の切実な思いの表れ
だろう。
 移転拒否か、カネか。市民にそんなつらい選択を強いた政府の政策に、あらため
て憤りを覚える。
 今回の市長選は、地方自治のあり方を問うものでもあった。
 「防衛政策に自治体が法律上の手続きを使って異議をさしはさむべきではない」
 大阪府の橋下徹知事は岩国の住民投票をそう批判した。だが、防衛政策が国
の専管事項だからといって、地方の声を無視する国の勝手が許されるわけでは
ない。
 政府にも橋下氏と同じような理屈をいう政治家や官僚がいる。何か勘違いして
いるようだ。米軍再編計画を地元の頭越しに決め、しかも住民の自由な意思表明
を否定して、いったいどこに地方自治があるというのか。
 最後に福田氏に注文がある。
 「移転に協力するが、騒音や治安問題など住民の不安解消にまず取り組む」
 「国の言いなりにはならない」
 福田氏のこの言葉を信じて投じられた一票は多かったことだろう。政府に言う
べきは言って、しっかりと約束を果たしてもらいたい。


若干補足しておきます。
沖縄県の県知事は、反基地の象徴だった大田昌秀氏から保守系の稲嶺惠一氏、
仲井眞弘多 現知事と変わり、名護市長も移設容認派であるにも関わらず、普天間
基地移設はいまだ実現せず、計画修正を求めている名護市は岩国市同様、国の
補助金をカットされています。
自治体の首長は、東京都知事や大阪府知事のような例外を除いて、住民の意向
を無視できないものであり、知事が変われば事が進むというような簡単な話では
ありません。福田氏が公約を忠実に守るなら、協議は難航するでしょう。
その時に果たして国がすんなり補助金を出すのか、気になるところです。もし出さ
なければ、「背に腹は代えられない」と苦渋の選択をした市民は反発するでしょう。
井原 前市長が首を賭けた予算案を修正し、国の補助金を盛り込んだ市議会も、
修正を余儀なくされれば非難轟々でしょう。
今回、周辺の旧郡部で支持されなかったことが井原氏落選の大きな要因とも言わ
れていますが、仮に移転が進展して補助金を貰っても、周辺部がその恩恵に与れ
るかどうかも疑問です。
まあ、バラ色の夢を振り撒いたのは、福田氏自身でもあるのですが。

年末年始回顧 その1

2008年02月10日 06時30分54秒 | 時事・社会
随分長いこと放置してしまいました。
去年もこの時期ずっと書けていませんでしたが、どうやら仕事のせいだけではなく、
PC環境の問題のようです。部屋が寒すぎて、文章を練れないという。
娘の進学に合わせて、大規模な配置換えを考えてまして、PCも茶の間(古い言葉
ですが、我が家には「リビング」と呼べる部屋は無いので)に移そうと思ってますの
で、実現すればかなり改善されるはずです。今しばらくお待ち下さい。

さて、この3ヵ月ほどの間に世の中は大きく動きました。
政治面では、岩国の井原市長の辞職がショックでした。
以前から何度か取り上げてきましたが、岩国への空母艦載機移転問題とそれに
付随した補助金問題は、国の独断・横暴を諌めることの困難さ、正義が通らない
不条理を感じずにいられません。
これまでの経緯や、市民が十分に負ってきた負担、地方中小都市の抱える課題、
そして芸予地震で被害を受けたためにやむなく始められた市庁舎改築。これ以上
何を求めればいいのでしょう。岩国市を、井原市長を責める資格があるでしょうか。
先日7日は「北方領土の日」でしたが、市民にとって「国土」とは何なのか、旧ソ連
軍と日本政府や在日米軍とで何が違うのか、腹立たしい思いがします。
大阪府知事に選ばれた橋下徹はいつもの調子で暴言を吐いて、弁護士でありな
がら法律を知らないことや、「民意を汲み取る」と言いながらその手段である住民
投票を否定するという矛盾に気づかない愚かさをさらけ出してましたが、そもそも
「大阪を変える」と言って府知事になった人が大阪のことより先に岩国のことに口
を出すのがおかしい。いっそ、大阪に基地を誘致して補助金をたっぷり貰えば、
府の財政も潤ってよろしいのではないでしょうか。
明日の岩国市長選挙で再び市民の良識が示されることを期待しています。

共産党が全小選挙区擁立を見直し

2007年09月09日 23時51分25秒 | 時事・社会
共産党が全小選挙区擁立を見直し

 共産党は8日、党本部で第5回中央委員会総会(5中総)を開き、志位和夫委員長
は次期衆院選ですべての小選挙区で候補者を擁立する方針の見直しと、擁立基準
の設定を提案した。比例代表での議席獲得に集中して選挙運動を展開するのが
狙い。9日までの日程で議論し決定する。
 新たな基準は(1)小選挙区での立候補は原則として先の参院選比例代表で得票
率が8%以上の選挙区(2)各都道府県で1人は擁立する-の2点。2005年衆院選
では275の小選挙区で候補者を擁立したが、この基準に従えば大都市を中心に約
130選挙区と半減する。「2大政党」が定着する中、党の生き残りを模索した結果と
いえる。
 共産党は2004年に「全選挙区での立候補は義務付けない」との方針を打ち出した
が、05年衆院選でも基本的に全選挙区での候補擁立を目指した。しかし供託金
没収が6億6900万円に上るなど財政的な圧迫もあり「マイナスが大きい」(志位氏
)と判断した。
 次期衆院選の目標として全国で650万票と全比例ブロックでの議席獲得・議席増
を掲げた。
 共産党が候補者を擁立しない選挙区では結果的に民主党に票が流れるとみら
れ、民主党の政権戦略にも影響しそうだ。民主党の選対幹部は「すごくいい影響
が出る。基準外の選挙区でも共産党票は1~2万票はあり、間違っても自民党には
流れない」と歓迎した。
 共産党は「民主党との選挙協力ではない」(幹部)と強調するが、実質的にその
効果が出るのは確実。ただ共産党の候補者擁立が大都市中心になるのは明らか
で、地方での共産党の基盤弱体化の危険性もある。
 志位氏は幹部会報告で、安倍政権に対して「一新されるべき安倍晋三首相が
居座った上、『ノー』の審判が下された路線にしがみついている」と厳しく批判。
民主党に対しては「大企業中心主義など自民、公明政治を変える路線的立場は
持っていない」と指摘した。
                     [nikkansports.com 2007年9月8日20時8分]


「社共共闘」は遠い昔の話、どの政党からも距離を置かれ孤高の道を歩んできた
日本共産党ですから(その独善性ゆえの自業自得との見方もありますが)、単独
政権を樹立できるだけの候補を擁立するのは、ある意味政党として当然のことで
あるかも知れませんが、それが結果的に与党批判票を分散させ、戦後の自民党
支配を許してきた一因であるとの指摘ももっともで、この度の「現実的対応」には
一定の評価をしたいと思います。
私としては、民主党にも期待はしていないのですが(というか、自民も民主も基本
的に、権力欲しさで集まった「なんでもありの寄り合い所帯」で、期待できる人も
多少いますが、全く信用できない人も大勢います)、「護憲」「生活重視」を旗印と
する緩やかな連帯を目指すにしても、共産党の存在・頑なな態度が結構大きな
壁になっていましたので、その点でも少し展望が見えてきました。

気になるのは、「地方の叛乱」と称された先の参院選で党勢を伸ばせず、牙城で
あった東京でも選挙区で議席を獲れなかったことへの反省が見られないことです。
反転攻勢への道筋を描かないと、衰退スパイラルに陥る懸念は否定できません。
今は「支持」はしていませんが、もうちょっと頑張っていただかないと困るので、
密かに期待を寄せ、応援したいと思います。

狭量な健忘症

2007年08月30日 23時38分58秒 | 時事・社会
ゴシップ的時事ネタには基本的に触れないことにしておりますが、連日
メディアを賑わしている横綱・朝青龍関の騒動を見ていると、表題に掲げた
ような日本人の特性が如実に表れている気がします。
事の起こりは、名古屋場所で優勝後に腰の疲労骨折が発覚した横綱が、
夏巡業を休場して「療養のため」帰国中のモンゴルで、親善イベントで
サッカーに興じていたことが7月26日に明らかになったことでした。
相撲協会に提出された医師の診断書によると骨折と肘痛で「全治6週間」。
普通なら入院が必要な筈ですし、後に主治医は協会を通じて「肘は手術が
必要な状態」とコメントしています。協会の処分の軽重はともかく、帰国を
認めなかったのは、単なるペナルティではなく、「まずは怪我の治療が先」
という認識があったからと思われます。時間を置いてほとぼりが冷めたら
帰国を認める節が、当初見受けられました。ところが、ネタに困っていた
メディアが大騒ぎし、参院選の余勢を駆ってか(笑)世論も猛反発したため、
すっぽかされて激怒していた協会巡業部の強硬意見が通って、横綱は
「自宅軟禁状態」に置かれることになります。すると今度は「急性ストレス
障害」さらには「解離性障害」に。おまけに骨折はうやむやになり、肘も
通院治療で十分、と見解が変わりました。(自然治癒?)
そうこうしているうちに、同情論が広がって風向きが変わり、またモンゴル
の国民感情の悪化も懸念され、次第に孤立し始めた相撲協会は、迷走の
末にようやく帰国を認め、昨日横綱は出国しました。

結局「仮病疑惑」は晴れぬまま、というか協会自身、真相解明に本気で
取り組んだようには思えません。本人が「改悛の情」さえ見せれば不問に
付す、という処分が「重い」と逃げ出すなら、相撲界には相応しくないと
言っていいでしょう。(「横綱の資質」云々とは別次元で)
心の病にしても、どうも漏れ伝わる横綱の言動とは矛盾する点があって、
新たな「仮病」疑惑を生んでいますが、本人の問題ではなく、協会ぐるみ
の隠蔽工作なのではないか、という気もします。

「精神病」患者の犯罪や、裁判で「責任能力」が争われることに対して
批判的な声が昨今強まっていますが、「矯正」に主眼を置いたこれまでの
刑法・少年法体系にしろ、「懲罰」中心に転換するにしろ、「正常な精神
状態でない者に効果があるのか」という点をクリアしない限り、厳罰や
極刑も無意味かも知れません。ウソか本当かの確認が難しい部分もあり
ますが、被告の権利を守ることは人権の基本です。(この点は以前にも
書きましたし、そのうちまた触れたいと思います。)被害者本人や関係者
でもないのに「犯人憎し」に凝り固まる精神状態だって、「正常」といえる
かどうか・・・。
それでも「責任は取らなきゃいかん」と言うのなら、責任を取れる状態に
なるまで待つのが基本でしょう。
横綱の問題も、「モンゴルで十分休養して、心身ともに治ったら、改めて
処分を科す」としておけばここまでこじれずに済んだものを、と思わずに
いられません。

シビリアンコントロールの危機

2007年08月19日 23時40分07秒 | 時事・社会
世間を騒がせた、小池防衛相vs守屋事務次官の話ではありません。
「人事権は大臣が持っている。事務次官も自衛隊員であり、次官はシビリアン
コントロール(文民統制)に服さなければいけない」などという発言が政府関係
者からなされていますが、事務次官はいわゆる「背広組」つまり防衛省官僚の
トップで、「制服組」の自衛隊員ではありませんから、事実誤認です。

元イラク先遣隊長の佐藤正久 参院議員(自民党)が、JNNの取材に対して、
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の
前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は
(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるの
であれば喜んで裁かれてやろうと」と、独断で「駆けつけ警護」をする考えを
持っていたことを語ったことが、ネット上で波紋を呼んでいます。
というか、TBSのスクープなのですが、大問題であるにも関わらず他のメディア
がなぜか取り上げず、闇に葬られそうな気配です。
件の映像が、You Tubeにアップされていますので、ご存じない方はぜひご覧
ください。そしてどんどん広めましょう。
 http://jp.youtube.com/watch?v=fgP_qqxPRtY

「戦前レジーム」からの脱却

2007年08月15日 23時56分31秒 | 時事・社会
最高気温が40度を越えた所もあった、うだるような暑さの一日でした。
どのメディアも「終戦記念日」一色でしたが、小泉 前首相の靖国神社参拝で
揺れた昨年とは大違いの静かな一日でした。戦後初めて一人の閣僚も参拝
しないという歴史的快挙を阻止すべく、前言を翻して駆け込み参拝した高市
沖縄担当相なんて、見てて哀れですね。話題になっている小池防衛相と守屋
防衛次官の対立には、守屋次官が米軍普天間基地の移転問題で、名護市
へのヘリポート建設計画の修正を拒んでいることが絡んでいる、との噂も流れ
てますし、何より沖縄は「集団自決」をめぐる教科書検定問題で怒りに燃えて
いる状況だというのに、沖縄担当相だけが参拝するなんて。
私は昔から自民党をはじめ「保守」系政治家は嫌いですが、以前はもう少し
まともだったぞ、と思わずにはいられません。まあ、中曽根 元首相や、読売の
渡邉会長がまともなことを言っているように見える時代ですから・・・。

以前にもちょっと触れたことがあるのですが(2005年8月7日記事「原爆は広島
だけのこと?」
参照)、そもそも何で8月15日が「終戦記念日」なのか、という
ことについて今日は書きたいと思います。
まず「終戦」に至る歴史をざっとおさらいしましょう。

1945(昭和20)年
  2月11日 ヤルタ会談合意(米英ソ)。
  3月26日 硫黄島守備隊「玉砕」。
  5月 9日 ドイツ降伏。
  6月23日 沖縄守備隊壊滅し、「組織的戦闘」終結。
  7月26日 ポツダム宣言発表(米英中)。
  8月 6日 広島原爆投下。
  8月 9日 ソ連対日参戦。長崎原爆投下。
  8月14日 日本政府、ポツダム宣言受諾を表明。
  8月15日 「玉音放送」により国民に敗戦が知らされる。
  8月19日 関東軍、ソ連軍に降伏。
  8月30日 マッカーサー以下占領軍、厚木基地到着。
  9月 2日 東京湾上のミズーリ号で降伏文書調印。
  9月 8日 日比谷の第一生命ビルにGHQ本部を置く。

個々の詳細については、ネット検索で簡単に調べられますので、割愛します。

歴史はプロセスであって、その中のある象徴的な出来事を以って語られること
が多いのは確かですが、それが全てではないのは自明のことです。
まして、上に挙げたものだけを見て頂いてもお分かりの通り、8月15日に「戦争
が終わった」といえる歴史的根拠は薄弱です。
確かにこの日、多くの国民(併合されていた朝鮮・台湾の人たちも含む)が
敗戦を知り、武装解除も進められました。しかし一方で、この日以降も沖縄や
中国大陸や樺太・千島で、「戦争」は続いていました。
法的および国際的には、8月14日か9月2日を一つの区切りとするのが妥当な
所かと思います。

私個人の考えとしましては、8月15日を「終戦記念日」とするのは、昭和天皇
の「御聖断」によって戦争が終結したという天皇中心史観にほかなりません。
当時の日本の最高統治者・大元帥であった天皇自らが国民に語りかける、と
いうことの意義や、国民感情を考慮したとしても、「歴史的帰結としての敗戦」
を「天皇による終戦」に摩り替えるのが8月15日です。
ですから、単に「終戦」を「敗戦」と言い換えたところで、「8月15日」の意味を
問わないならば、依然として天皇中心史観=「戦前レジーム」に囚われたまま
だと言えるでしょう。
「8月15日」にこだわる人々(例えばこの日に靖国参拝したがる人たちなど)は
まさに「戦前レジーム」の体現者・擁護者ですが、せめてそれを批判する側は
「戦前レジーム」から脱却したいものです。

安倍首相 来広

2007年08月04日 23時59分48秒 | 時事・社会
「聞く会」欠席 8・6参列の首相

 安倍晋三首相は、6日に広島市中区の平和記念公園である原爆死没者慰霊式・
平和祈念式(平和記念式典)と、9日の長崎市の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に
出席する。塩崎恭久官房長官が1日の記者会見で正式に発表した。一方、広島市
が出席を求めていた、式典後に同市内である「被爆者代表から要望を聞く会」は
欠席する。
 安倍首相は「聞く会」欠席について記者団に「被爆者の声に対して当然、政府と
して応えていかねばならない、よく耳を傾けなければならないと思っている。今後
ともそういう姿勢で対応したい。当日はスケジュール上の都合でそうなった」と
述べた。
 広島市の式典には1994年以来、13年連続で首相が出席している。昨年9月に
就任した安倍首相は首相としては初出席。「聞く会」への首相の出席は、2001年
の小泉純一郎首相(当時)を最後に途絶え、以降は厚生労働相が出ている。
広島の被爆者七団体は、安倍首相の出席を求める要請文を官邸に送っていた。

 ▽ヒロシマに怒りと失望
 広島市の平和記念式典(6日)終了後に開かれる「被爆者代表から要望を聞く
会」を安倍晋三首相が欠席することになった1日、広島の被爆者7団体の代表
たちは怒りと失望の声を上げた。
 広島県被団協の坪井直理事長は中区の広島平和会館で会見。首相が改憲に
強い意欲を持っている点に触れ、「戦争放棄の条項や非核三原則は守ってくれる
のか、しっかりとただしたかった」と怒りをにじませた。
 もう一つの県被団協の金子一士理事長は「久間発言を重大視せず参院選で
大敗し、合わす顔がないのだろうか。被爆国の首相として被爆者からじかに話を
聞き、支えるのが当然ではないか」と語気を強めた。
 県朝鮮人被爆者協議会の李実根会長は「首相として初めて出席する年くらいは
直接会ってほしかった。北朝鮮の被爆者への理解も求めたかった」と残念がった。
 7団体は、「聞く会」で原爆投下を「しょうがない」とした久間章生前防衛相の発言
への謝罪や原爆症認定制度見直しなどを首相に要望することにしていた。「聞く
会」は広島の被爆者が首相に要望を直接伝える唯一の機会。2001年に当時の
小泉純一郎首相が出席したのを最後にその後は毎年、厚労相が応じている。
今年も柳沢伯夫厚労相が出席する方向で調整中だ。広島被爆者団体連絡会議
の末宗明登事務局長は「被爆者援護などを直接担当する厚労相にしっかりと
訴える」と語った。
 広島市の秋葉忠利市長も「再三にわたる強い要望にもかかわらず、人類史的
な出来事の生き証人たる被爆者と直接言葉を交わすこともなく、広島を去られる
ことは誠に遺憾」とのコメントを出した。
                             [中国新聞'07/8/2]

首相が被爆者団体と面会へ 要請受け広島と長崎で

 安倍晋三首相は2日夜、原爆死没者の慰霊式典出席のため今月訪れる広島、
長崎で、被爆者団体の代表らと面会する意向を明らかにした。首相官邸で記者
団に述べた。
 現職首相が被爆者団体の代表と面会して要望を聞くのは、広島、長崎ともに
2001年当時の小泉純一郎首相以来。久間章生前防衛相の原爆投下をめぐる
発言などを受け、秋葉忠利広島市長や被爆者団体が面会を強く要請していた。
 官邸側は今月1日、広島市に対し、6日の「被爆者代表から要望を聞く会」に
欠席すると連絡していたが、首相は「(広島は)日程を調整し、五日にお目に
かかる予定だ。長崎でも面会の日程を調整している」と述べた。
                             [中国新聞'07/8/3]


全く以って、自分の置かれた立場も状況も理解できない、行き当たりばったりな
この人に相応しいドタバタ劇でした。
第一「スケジュールの都合」って、「原爆の日」は初めから分かってるんだから、
式典に出るつもりだったなら、ちゃんと空けときなさいっての。被爆者に会う気が
無かったから他の予定入れちゃって、でも久間発言で選挙に負けたから、小泉
前首相のように「会う必要は無い」とは言えずに下手な言い訳をして、泥沼に
はまったのでしょうね。初めから「聞く会」の日程変更を求めていれば、少しは
見直してあげたけど。

そういえば、自民党のポスターの安倍首相って、本人は気取ってるつもりかも
知れませんが、上目遣いで、どこ見てるか分からなくて不気味でした。あれは
きっと、国民のほうを向いていない地が出ちゃったのでしょう。(笑) 保守王国の
広島では普通に目にしましたけど、一部の地域では候補者に敬遠されてあまり
表に出されなかったそうですし。

気がつくともう8月を迎えて、広島「原爆の日」は明後日。
日本語を知らないことでも知られる首相は、どんなコメントをしてくれるのでしょうか。

「原爆投下しょうがない」発言

2007年07月04日 01時48分43秒 | 時事・社会
空梅雨気味だった今年の雨の季節も、7月の声を聞いた途端に今までの
分も取り戻そうかという勢いに変わり、豪雨の心配までしなくてはならない
気配です。こんな日は、
♪しょうがない~ 雨の日はしょうがない
と歌いたくなるのは、別に久間 前防衛相のせいではありませんが。

旧軍人・軍属とその遺族は面倒を見ても、一般市民の戦争被害について
は「戦争だからしょうがない」と一切補償せず、国家の責任すら認めずに
戦後62年来たわけですから、そして「他の戦争被害者との間で不公平が
生じる」と長いこと被爆者援護法に反対し続けてきたのが自民党ですから、
この度の久間氏の発言は、政府・自民党の本音が出たに過ぎません。
かつて「自衛のためなら核使用も違憲ではない」と答弁した岸 元首相の
孫である安倍首相は、官房副長官時代に祖父と同様の発言をしています。
先日の党首討論で民主党の小沢氏から久間発言を追求された時は「核の
傘」論を持ち出してかわしてましたし、最近は「非核三原則見直し」発言も
閣僚から度々聞かれます。
小泉 前首相に倣ったのか、慰霊の日に沖縄入りした安倍氏も、式典だけ
出席してさっさと帰り、県民の声は一切聞かずじまいでした。教科書検定
で「集団自決」への軍の関与が否定された問題でも、「自分には関係ない」
と言わんばかりの態度。
きっとそうやって「安倍カラー」を出してるんだ、と好意的に解釈することに
いたしましょう。

話を久間発言に戻しますが、「しょうがない」とまでは言わなかったものの
原爆で戦争が終わった、との認識を最初に示したのは、実は昭和天皇
なのです。いわゆる「終戦の詔勅」がそれです。
実際のところ、日本政府・天皇がもっとも恐れていたのがソ連参戦であり、
ソ連に占領されれば天皇制維持は不可能だというのがポツダム宣言受諾
を決断した最大の要因でした。
そこに見られるのは市民不在の国家の論理です。原爆で戦争が終わった
のではなく、原爆を落とされるまで戦争を止められなかったのです。
だから、もし発言の本意は別にあり、言葉が不適切で誤解を与えたという
のなら、国の責任を市民に謝るのが筋で、首相や党に申し訳ないなどと
のたまうのは本末転倒です。(仮定が間違っているので、実際のところは
首尾一貫しているわけですが。)

それにしても、そのような歴史観をお持ちなら、ソ連に分断占領された
北朝鮮の方々に対してもっと同情しても良さそうなものなのに。

(追記)
選挙対策で辞任して、後任が小池百合子氏というのも何ともちぐはぐな
人事です。それでも自民党に投票しようという人の気が知れません。
ところで元環境相の小池氏、環境を汚染する兵器の撤廃に尽力して頂け
ないでしょうか。参院選までのつなぎだったら無理かな。

失望しても絶望しない

2007年07月03日 02時34分17秒 | 時事・社会
丸岡受刑者が2審で逆転敗訴・名誉毀損訴訟
 1986―87年の三井物産マニラ支店長誘拐事件に関与したと報じた読売新聞
記事で名誉が棄損されたとして、日本赤軍の元メンバー丸岡修受刑者(56)が
読売新聞社側に約1600万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、
東京高裁は28日、105万円の支払いを命じた一審東京地裁判決を破棄、請求
を棄却した。丸岡受刑者側は上告する方針。
 吉戒修一裁判長は判決理由で、日航機がハイジャックされたダッカ事件など
で丸岡受刑者は無期懲役が確定し、服役中であると指摘。「受刑者の社会的
評価は既に低く、記事が評価を低下させて名誉を棄損したとは言えない」と
述べた。〔共同通信 2007.6.28 23:00〕


宮澤喜一元首相が亡くなった日にこのような判決が出たことに、暗澹たる思い
を抱いています。「一時代の終わり」を通り越して「終末」を予感させるような
ニュースです。
政治家や著名人だと黒い噂が絶えない人でも高額の慰謝料を勝ち取る一方、
権力に逆らう者や弱者は泣き寝入りせざるをえない。しかもこんなあからさまな
犯罪者差別を裁判所がするようでは・・・。

先週の教会学校、今週の礼拝と続けて、ルカ福音書18章の「やもめと裁判官」
のたとえを学びました。不利益を蒙っていた一人の寡婦が、人を人とも思わず
神をも畏れない不正な裁判官に、しつこくしつこく訴え続けて、自分のために
裁判をさせたという話です。(当時女性の人権は認められておらず、弁護する
夫を持たない寡婦の訴えが通ることはまずありませんでした。)
これはたとえ話であり、「まして神は」というレトリックで信仰者に希望を持ち
続けるよう説くお話であって、直ちに現実社会に結び付けうるものではないの
かも知れません。
でもだからといって、世の中の不義不正に目を閉ざし、心の平安と来世の希望
だけを説くのは本当の福音ではありません。実現不可能に見えても、それに
関わることで迫害を受けても、現実の中に身を置き、いと小さき者の側に立ち、
神の正義の実現を信じて諦めることなく訴え続けていく。それがクリスチャンの
あるべき姿だと思います。

でも、そうは言ってもねぇ。こんなニュースばっかりで・・・。

現職閣僚の自殺

2007年05月30日 01時04分14秒 | 時事・社会
現職閣僚としては戦後初という、松岡ナントカ大臣(「元」を挟むと語呂が悪い
ので、このまま呼ばせてもらいます)の自殺。きちんとした記録や統計がある
わけではありませんが、おそらく唯一の前例と思われるのが、ポツダム宣言
受諾を拒否して割腹自殺した阿南惟幾陸相でして、松岡氏の自殺のニュース
を知って私の脳裏に浮かんだのが、その阿南陸相の遺書に書かれていたと
いう「一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル」という言葉でした。
しかし松岡氏のスキャンダルは、「大罪」と呼ぶには余りにみみっちいという
か、死ぬほどのことか?というのが正直な感想です。余程の小心者でなけれ
ば、死んでも隠し通さねばならないもっと大きな罪が裏にあるのではないかと
勘繰りたくもなります。
尤も、阿南陸相も何を以って「大罪」と定めたか怪しいところもありますが。
そもそも彼の遺書は昭和天皇に宛てて書かれた物ですし。
その点松岡氏は、まだ詳細は把握していませんが一応国民向けのメッセージ
も残していたようですし、一部では安倍首相が真相告白や辞任を控えさせて
いたとの説も流れていて、根っからの悪人ではなかったのではないかと思って
もみたり。というか、そう思いたいものです。

ただ、報道でもネット上でも同様の主張はまだ目にしてませんが、「教育再生」
を掲げた内閣の閣僚がこうも簡単に自殺しちゃっては、いじめが原因とされる
自殺が相次いだことを受けて政府が子どもたちに呼びかけたあのメッセージは
何だったの?それこそ閣内不一致じゃない。ってことになるのではないでしょう
か。全ては「戦後レジームの脱却」=「戦前回帰」のためで、本当は子どもの
ことなんかちっとも考えてない、といえばそれまでですが。
現職閣僚が「再チャレンジ」することなく自ら命を絶つなんて、これ以上無い
皮肉です。「残念だ」で済ませられることではないはずです。まして、任命者の
責任を本当に感じているのなら。