Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

防衛「省」は必要か

2006年12月02日 23時51分54秒 | 時事・社会
教育基本法や共謀罪などをめぐる与野党攻防の陰に隠れて、
防衛庁の省昇格法案が先月30日、衆院を通過しました。
発足当時からの悲願、と言われてましたが、それにしてもなぜ
この時期に昇格させなければならないのか、具体的な説明は
なされないままです。
「国民の安全を守るために」というのなら、警察庁だって海上
保安庁だって昇格させなければいけないはずです。
「他国はみな省だから」というのも、憲法との整合性や歴史的
経緯を全く無視した稚拙な主張ですね。

「自衛権までは放棄していない」というのは後からこじつけた
解釈であって、現在の憲法が制定された時に将来の再武装
化は想定されていなかったことは、当時の政府答弁などから
も明らかです。
最初に創設された警察予備隊は、朝鮮戦争のために日本を
離れた米軍に代わる「治安警察」でした。それがいつの間に
か恒久化され、現在に至っているわけです。
仮に「現にあるものは仕方が無い」という「現実的対応」をした
としても、それを「理想」に近づける努力が求められこそすれ、
なし崩し的な増強・拡大は許されるべきではありません。

私がこう申し上げるのは、これまでにも何度か書きましたが、
憲法九条は天皇制維持のために必要不可欠だったという
歴史的経緯があるからです。
ムッソリーニは抵抗運動家らに処刑され、ヒトラーは自殺しま
したが、もし生きていれば間違いなく、国際軍事法廷で死刑
になっていたでしょう。サダム=フセインはイラク国内の法廷
で裁かれた形(しかも戦争責任や大量破壊兵器とは無関係
の国内問題で)にはなっていますが、東京裁判を否定する
人たちが槍玉に挙げる「人道に対する罪」で死刑判決を受け
たことに対し、この国の為政者も多くの国民も全く異を唱え
ていません。
つまり、憲法九条無しに昭和天皇は無事でいられなかった
し、天皇制存続も危うかったのです。それが当時も今も世界
の「常識」です。
だとすれば、憲法九条を改悪もしくは骨抜きにすることは、
「戦争責任」問題をもう一度蒸し返し、天皇制を含めたこの
国のあり方を根本から問い直すこと抜きにはありえない、
というか、あってはならない筈です。
少なくとも、自民党の改憲案のようなものは、「戦前回帰」
としか受け止められなくて当然で、認められません。

さらにもう一つ、無視できない歴史上の問題として「統帥
権の独立」が絡んできますが、少し長くなりましたので、
続きは次回に。

実相寺昭雄氏、宮内國郎氏、死去

2006年12月01日 23時58分17秒 | 映画・ドラマ
「ウルトラマン」演出、実相寺昭雄さん死去

 テレビ番組「ウルトラマン」シリーズや映画「帝都物語」で知られる
映画監督で演出家の実相寺昭雄(じっそうじ・あきお)さんが、29日
午後11時45分、胃がんのため死去した。69歳。
 告別式は12月2日午前10時30分から、東京都文京区湯島4の1
の8 麟祥院で。喪主は妻で女優の原知佐子(はら・ちさこ)さん。
 東京都生まれ。早稲田大学卒業後、1959年、東京放送(TBS)
に入社。66年の「ウルトラマン」をはじめ、「ウルトラセブン」「怪奇
大作戦」などの特撮ドラマを演出し、69年の短編「宵闇せまれば」
で映画を初監督。翌年同社を退社後、長編第一作の「無常」を手
がけ、映画「曼陀羅(まんだら)」「あさき夢みし」などで、日本的
な精神風土に迫る作品を撮った。
                [読売新聞 11月30日13時31分更新]


<訃報>宮内国郎さん74歳=「ウルトラマン」などの作曲家

 宮内国郎さん74歳(みやうち・くにお=作曲家)27日、大腸がん
のため死去。葬儀は近親者で行う。自宅は東京都狛江市岩戸南
1の5の2。喪主は長男俊郎(としろう)さん。
 「ウルトラQ」「ウルトラマン」など特撮テレビ番組や映画の主題
歌作曲を中心に活躍した。
               [毎日新聞 11月30日23時14分更新]



子どもの頃から慣れ親しんだ人、憧れだった人たちの訃報が、
次々と届いて、ますます暗い気持ちになります。

「ウルトラマン」は再放送(再々々放送くらい?)で見た世代です
が、随分と影響を受けたものです。たぶん「ウルトラマン」を知ら
なければ、「ゴジラ」を好きにはなっていなかったでしょう。
実相寺氏を知ったのは、実は『帝都物語』が最初でした。円谷
英二氏は良く知っていましたが、彼の弟子たちのことは全くと
言っていいほど知りませんでした。
でも考えてみれば、私がリアルタイムで見てきた映画やテレビ
番組は、実相寺氏ら「ポスト円谷」世代が作っていたわけですし、
「ウルトラシリーズ」も実は、円谷氏は一線を退いて弟子たちに
自由に作らせていたらしいです。
私自身、まだ「正当な評価」ができるほど彼のことを知りません
ので、今更ですが足跡を辿ってみたいと思います。

宮内氏は『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』の作曲者
として知ってましたが、「ウルトラマン」や「セブン」もそうだった
のですね。
「ウルトラセブン」の音楽は、特撮史上に残る傑作だと思います。
余談ですが、私が大学に入学した時、サークル紹介で、某合唱
団が「ウルトラセブンのうた」を男性4部合唱で歌ってくれまして、
大爆笑しつつも感動した記憶があります。
伊福部昭氏のおかげで肩身の狭い思いはしなかったかも知れ
ませんが、それでもテレビ番組の音楽、しかも子ども向けとなる
と、「邪道」扱いは受けたことでしょう。でも、円谷作品における
伊福部氏同様、実相寺作品においてなくてはならない存在で
あったと思います。