Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

広島移動学座レポート その6

2006年01月24日 22時59分26秒 | 学座
国立追悼平和祈念館は、時間が押したためカットしました。
以前(昨年5月19日記事「平和国家?」)でも触れましたが、
私はこの施設に存在意義を認めていません。身内や知人
を亡くした人はそれなりに感慨を覚えるかも知れませんが、
国がわざわざ造るべきものとは到底思えません。
そういう無意味さ、虚しさを感じてほしいと思って、一応見学
コースに入れていたのですが、次回に持ち越しです。
ちなみに、ここに登録されている「遺影」は、昨年末現在で
約1万3千人分です。これを多いと思うか、少ないと思うか、
人それぞれでしょうが、9割以上の死者が写真すら残って
いないというところにも、原爆の悲惨さが現れています。
また「遺影」には、中国新聞社が特集記事のために集めた
写真も多数含まれています。そして、朝鮮人と思われる名
の「遺影」は、ほんの数枚しかありません。

最後に、平和記念資料館に入りました。
ここだけは有料(大人50円)です。この金額では当然経費も
賄えないので、市が補填しています。このところの来館者
減少を受けて、無料化も検討されましたが、無料にすれば
増えるものでもない、少額でも払うことでヒロシマを伝える
働きに参加した実感が持てる、として据え置かれています。
展示内容は91年に大幅に変更されましたが、「インパクトが
無くなった」「悲惨さが伝わらない」と不評だったため、東館
がリニューアルされた94年に再度変更されています。
東館は原爆投下の歴史的背景や、戦後の世界情勢などを
系統的に学べる内容になっています。パネルやVTRが中心
で、じっくり見ると時間がかかりすぎるのが難点です。実際、
修学旅行生がこの資料館の見学に充てている時間は平均
45分程度だそうですが、その大半を東館でつぶして、西館
は駆け抜けて行ってしまうのが現状です。今回私たちは、
1時間~1時間半ほど見ましたが、それでも3分の2ほどしか
見れなかった人もいました。
西館には、原爆の被害の凄まじさを伝える資料が並んで
います。物議をかもした「再現人形」なども再び展示されて
います。とはいえ、これらはほんの一断面に過ぎません。
「(ヒロシマは)三度目の原爆投下がなければ再現不可能」
と被爆者が語っています。しかし、再現はあってはならない
のです。だから今日も、これからも、限られた言葉や資料や
映像によってではありますが、ヒロシマは伝えられていくの
です。「過ち」を繰り返さないために。