キリスト教は独善的か

長年クリスチャンをやってますと、「キリスト教は独善的だ」という
批判をしばしば耳にしますが、本当にそうでしょうか。
神とか真理といったものは、己の正しさを主張しますから、宗教は
本質的に独善的であるのかも知れません。しかし、「神の絶対性」
と「自己絶対化」は似て非なるものです。真の宗教は、神のみを
絶対とするがゆえに、他の全てのものを相対化します。当然そこ
には、自分自身も含まれるのです。
「一神教は独善的、多神教はそうではない」と思い込んでる人も
多いようですが、多神教であってもそれが宗教である限り、そこには
ひとつの世界観、思想が貫かれています。どんなカミでも無節操に
取り入れているように見える日本でも、そのカミ本来の姿ではなく
日本人に都合よく改変したものを取り入れているに過ぎません。
そもそも「八百万の神々」とは、アニミズムから発展した古神道に、
アジア各地から伝わった神話や民間信仰が結びついて生まれた
ものです。仏教伝来後、仏教の教義を取り入れて神道の体系化が
なされます。更に儒教の影響も受けていきます。そして明治維新後、
キリスト教の影響を受けた結果生み出されたのが、一神教的な
「国家神道」でした。「日本の伝統思想＝神道＝多神教」と単純に
言い切ることはできません。
少なくとも今の日本も、ヒンズー教国インドも、「寛容」な国には到底
見えないのですが・・・。

また、宗教を登山にたとえ、目指す頂上は１つでも、そこに辿り着く
道はいくつもあるはずだ、と言って一神教を批判する人もいます。
これは私の個人的な見解で、違う考えを持っているクリスチャンも
大勢いることを予め断っておきますが、私はキリスト教は、「罪」の
問題を解決するという点においてのみ唯一無二の宗教だと考えて
います。神道では「穢れ」であって「禊」で取り去れます。仏教では
「煩悩」であり「悟り」を開くこと、あるいは輪廻からの「解脱」により
解放されます。イスラム教では善行を積むことで救いの道が開かれ
ます。しかしキリスト教は、どのような行いによっても救われることは
ないと説きます。この立場に立つならば、イエス＝キリストの十字架
による「贖罪」以外に「救い（＝罪の赦し）」はありえません。
端的に言えば、「キリスト教だけが正しい」のではなく、「キリスト教の
いう所の『救い』はキリストによってしか与えられない」のです。
問題は「どの宗教が正しいか」ではなく、「人間というものをどう理解
するか」なのです。