序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第36回公演「通せんぼ横丁」二場ー3

2018-12-06 19:46:31 | 覗かれる人生芝居


とんだドタバタの中,光子が現れる

陣五 「なあ、カアサン。先にやっとく」
光子 「そうだね、後は美樹と勝ちゃんだけだから、一回目の乾杯しちゃおうか」
由美子 「そしましょう、そうしましょう」



陣五 「静粛に」
光子 「ありがとう。・・・ええと、思えば二年前に区画整理の話が持ち上がってさ、まあ、すったもんだあって今日を
迎えたんだけど・・あたしは三十五年間ここにお世話になった訳さ、今じゃ一番の古株みたいな顔してるけど、三十五年
前に大家の倉本さんにお世話になってここに来た時には、とんでもない所に来ちゃったなあって、オドオドしながら店を
始めた初々しい時代もあったんだよ」
陣五 「いや、想像つかねえ」

     笑い起きる。



光子 「ホントだよ。あたしも最初の頃は、本音を言えばさ、こんな所早くおん出てもっとましな所へ早く移ろうって思ってたもんさ。でも、うさん臭く感じていた周りの店の人達が、本当は表も裏もない真っ正直な人達なんだって分かった時、力み返っていたあたしの肩から力がフッと抜けて急に居心地が良くなってさ、あっと思ったら三十五年も経っちまってた。まあ、結構いろんな事があったけど何とかかんとかやって来てお陰様で娘も一人前に育てる事が出来たし、いい仲間も出来たし、この横丁には感謝しかありません。みんなもこれから色々あるかもしれないけど頑張って頂戴。カアサンは皆の事を応援しています。へへ・・、マアこの辺でいいよね」

     洟を啜りながら頷く一同。

光子 「それじゃ、みんなの前途を祝して、カンパーイ」
一同 「カンパーイ」


光子 「ところでユミちゃんはこれからの事決まったの」
由美子 「うん、さっきね」

     由美子、佐知と視線を交わし笑う。

光子 「何だい、さっきって。どうすんのさ」
佐知 「あのね、ユミさんね・・・」
由美子 「ストップ。それはあたしから言わせて」
佐知 「ああ、そうね。どうぞ」
由美子 「あたし、店辞めて旦那の仕事手伝う事にしたん
だ」

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陣五 「ああ、俺。カアサンに報告。へへ・・」
光子 「あれ?・・・陣ちゃん、あんた決まったのかい」
陣五 「ああ、倉本の爺さんの世話で場所だけはね」
光子 「そりゃ、よかったじゃないの」
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陣五 「今度やる店はな、全自動立ち飲み屋ってんだ」
光子 「何だい、洗濯機じゃあるまいしその全自動ってのは」
陣五 「いや、ほら俺も酔っ払いのバカっ話に付き合っちゃいられねえから、酒も摘まみも酒もつまみも全部自動販売機
にしようと思っているんだ」

美樹が現れる。
第二場ー4に続く。
撮影鏡田伸幸


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