いつ購入してたのかほとんど定かではありませんが
DVD屋さんで鈴木清順監督作品を続々ライフワーク気味にリリースしてるんで
そういや米国版のBlu-rayが未見の山で埋もれてるなって思い出して・・・
いや小林旭さんの「関東無宿」でも書いてますし
世間で喧伝されてるクライマックスでの主人公の殴り込みシーンでも真っ赤に背景が血塗られたり障子襖が次から次へと開いていって二次元のスクリーンが三次元の奥行きを見せるっていう
清純仁侠映画でのクライマックスは完全に清順歌舞伎っていうくらいの映像美の凝りようが
この「刺青一代」で見られるんですね

そこにくるまでは脚本が悪いのか清順さんの演出がとおり一編なのか
仁侠の見せ場である我慢映画とはかけななれている作品
堅気で美大生の弟が兄の代わりにっていうか兄を助けて相手を殺してしまって
なんと兄弟揃って満州に逃げていこうとするものの
渡航費用を詐取されて土建現場で働いて・・・
しかし弟は土建屋の奥さんに一目惚れ
兄貴はそこの娘に惚れられて
さらに娘に惚れてる労務管理の男にダマされて
って言うある意味仁侠映画の体裁ではあるんですがそこは日活ですから耐えて忍ぶプロットでも無くて
クライマックスまでじっと我慢はなんと見てるこっちって言う作品でしたかね
したがって悪党親分の川津清三郎さんはラストに斬られるだけのために出演してるだけ
まぁ「関東無宿」での画面的広がりは前後左右であったものが
この映画ではその前戯左右にさらに上から下からって言う縦空間からに映像も見せてくれてるんですね
兄は朱い着物を着て、弟は白い着物を着る事で映画は収束するんですが
この映画に関してはホントクライマックスだけがある意味清純美学に彩られており
そこに行くまで実に困った映画だった
1965年製作、日本映画、日活作品
鈴木清順監督作品
出演:高橋英樹、和泉雅子、小高雄二、花ノ本壽、伊藤弘子、松尾嘉代、小松方正、高品格、日野道夫、野呂圭介、河野弘、柳瀬志郎、長弘、嵯峨善兵、荒井岩衛、高橋明、山口吉弘、池沢竜、高緒弘志、森みどり、河津清三郎、山内明