父親的生活

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

施設外授産 その後

2005-01-29 12:38:56 | 出産・育児
ずっと以前、授産施設と施設外授産制度について書いた事があります。(以前の記事

その後、9月以降は殆ど毎日施設の方々がマイクロバスで有田にあるもう一つの会社の方に仕事に来てくれています。
と、言っても、施設外授産制度の県の認可がまだ下りていないので、あくまでも”研修”という形ですが・・・

昨日は、その制度を利用して、わが社の中で施設外授産作業を行なってもらっている障害者福祉施設に行ってきました。
年末、有田にある我が社はみかんの出荷のピークと年末商戦を迎え、目も回るような忙しさなのですが、その間中、毎日シール張りや軽作業をこつこつと仕上げて下さっていた施設の皆さん。
年始になって仕事が落ち着いた時、社員から「何かお礼をした方がいいのでは」という意見が多く出てきました。
それで、お礼に沢山の野菜や果物を持って(施設は全寮制なので、きっと食事などで使っていただけると思って)挨拶に行ってきたのです。

約40人余りの障害を持った方たちが共同で暮らす「みのり園」という施設です。
国道から少し入った山間にその施設はあります。
園長さん始め3名の方が迎えてくれました。
お礼や今後の話をし、お土産を渡して来ました。



障害者の方が働くという事には社員内でも大きな抵抗があったようです。
有田の会社には月に数回しか行かない私ですが、行くと必ず不安を語る人がいました。
確かに、普通のパートタイマーさんに混じって障害者の方が働くという事は経験の無い事であり不安なのはわかります。
でも、これらの不安は時間が解決してくれました。毎日休まずに頑張る彼らの姿に心を打たれた社員は少なくないと思います。

そして挨拶の素晴らしさ。
園長曰く「働く事は半人前でも挨拶だけは一人前に出来る子達になればいい」
彼らは本当に挨拶が素晴らしいのです。
和歌山市内の会社の方にも3人の障害者の方が働いていますが、彼らもまた挨拶は本当に素晴らしい。
「おはようございます」「さようなら」「ありがとうございます」
はきはきと大きな声で挨拶が出来ます。
気持ちの良い挨拶に、我々が自らの情けない姿を反省することも多いのです。

今朝の日経新聞には「ニート」と呼ばれる仕事もしない若年層の事が出ていました。
わが社にも定職を持たない若い子がアルバイトに大勢来ますが、殆ど決まって彼らは長続きしません。
目を見て挨拶が、話が出来ません。時間が余ると携帯を開いて何やら打っています。
彼らと比較して、わが社で働く障害者の皆さんは何が劣るのでしょうか。
数字は10までしか数えられない人もいます。先生が付いていないとダメな人もいますが、彼らなりに一生懸命頑張ります。
方や、目を離すと座り込んで携帯を打つ彼ら。分単位で時間給の計算ばかりしている彼ら。
私にはどちらがどうなのかわからなくなります。

台風の日、「危ないから今日はお休みしても良いですよ」と電話した社員に
「みんな会社に行くのを楽しみにしている。普通の人は台風でも仕事をするのでしょう?」と施設の先生。
「危ない、可愛そうという、我々のものさしで勝手に囲いこまないで欲しい」とも。
その日、何人かの(普通の)パートさんは休みましたが、彼らは台風の中やってきました。



最後に園長と約束をしたのは、彼らがいつか定雇用者として働けるようになったら、会社の近くにグループホームを作るという事。
グループホームとは軽度の障害者の方が4~6名程度の少人数で一般の借家やアパート等を借りて共同生活する家です。
グループホームで暮らすという事は、彼らの「卒業」と同じなのです。
有田の弱小企業にそんな大それた夢がかなえられるかどうかは判りませんが、グループホーム、いつか実現したいと思っています。