中国の餃子問題以来、テレビのコメンテーターの意見を聞くのが楽しい。
食糧安全保障だという人もいれば、”私は昔から野菜は近郊物を食べている”なんていう人もいたり。でも、核心をついて納得できる結論を言った人はまだ居ないと思う。ただ、総じて”食は大切だ”と言いたい様なのは理解できる。
で、どうなのかというとここがトンチンカンなコメントを出す人がいて”野菜はもっと国産を・・・”なんて言ってみたり、”自給率が・・・・”なんて言ってみたり。
野菜は農作物の中でも比較的導入コストが安く、又すぐに始められます。よって、一時期パニックになる事はあっても、すぐに供給が追いつきます。種を植えて3ヶ月程度で収穫するものが殆どだし、規模が小さくても作れるし。よって、野菜の自給率はすぐ上がると思います。ただ、食材の一部となった場合の野菜は産地表示の必要がほぼ無いので、ここで中国産冷凍野菜が使われたりするのです。レストランや惣菜の材料まで産地表示が厳密化されれば、きっと野菜の自給率は相当上がると思います。
果物はモモクリ3年・・・のパターンで、実際に収穫できるまで数年必要な場合が多いですし、穀物は相当大きな初期投資が必要です(沢山の機械を使います)。
で、日本の自給率を下げている要因は??といえば、野菜ではなく”穀物”です。小麦や大豆がそうなのですが、ここが国産になれば自給率もすぐに60%を超えると思います。今、500g98円の小麦を倍の198円にするだけで、自給率は相当上がると思われます。但し、小麦の値上げは、パン、うどん、天ぷら等殆どの食品の値上げを覚悟しなければなりませんが。
そして、高いのを覚悟して穀物自給を上げるか、米で粉を作るか、日本人の食生活をご飯中心にするかしないと、いくら野菜を頑張って作って、国産野菜を食べても自給率は殆ど変わらないと思います。
日本の食品自給率が下がり始めたのは、昭和50年頃からだと思います。ところが中国の野菜が本格的に日本に輸入され始めたのは60年代ですし、人参やほうれん草なんて平成に入ってからですから。冷凍品に至っては平成10年以降だと思います。つまり、それまでは野菜の自給率は相当高かったはずで、その頃の姿に戻るのは比較的早いでしょう。
ただ、食品の値段、特に外食なのですが、多分平成10年頃は東京で昼飯を食べれば1000円は確実だったと思うのです、ところが最近は、銀座でもランチ580円なんて見かけます。でも、野菜の輸入状況が昭和60年頃程度に戻れば、これはやっぱり値上げになるでしょうね。
中国だけが危険だとイメージが先行していますが、他の国にももっと危険な工場はあるでしょうし、それらが輸入されている事も沢山あるでしょう。・・・まぁ3ヶ月もすればテレビも取り上げなくなって、餃子問題も随分トーンダウンしているとは思いますが。
それより何より、今回の事件をきっかけに”食”のあり方を語るなら、政府は国民に対し自給率に対する明確な目標の設定と、その根拠の説明。それを達成するにはどうなるのかという予想の提示、最後に国民の理解を得ての実行を行って欲しいものです。食べ物に対する不安は生活に最も不安感を与えかねないと思うのです。株なんかよりももっと影響大で、例えば”食品が4月から3割以上あがりますよ~”なんてもしアナウンスしたら、衣料品、旅行、雑貨、趣味、嗜好、全てに相当影響しますよね。きっと。
そしてこれはエネルギーも同じだと思うのです。エネルギー自給率はもっと悲惨で、確か5%程度。知れば恐ろしい話ばかり。日本って悲しい国です。