
『博学な樹』
博学な樹・・・大きく広い世界を学んでいる樹?
学ぶということは時間を要することであり、時の経過を意味するのかもしれない。
ピンクの床、淡いブルーの背景は非現実的であり、陰翳もどことなくちぐはぐ。
第一、目だけが独立して浮遊するなどあり得ない。
総てが非現実的なのである。遮蔽の板には人為的に開けられた四角い窓のようなものがあったり、木の質感を持つカーテンが床に直立している。
ビルボケから枝葉が茂っている。水(養分)を吸い上げないポールから水を必須とする枝葉が伸びている。
これらをどう捉えればいいのか・・・生と死の混在、醜悪な部分は一つもないのに、明らかに《生》の領域ではない。
崩壊、バラバラになったパーツがひっそり結びついており、しかも現世の律に作用しない。
パラダイスという歓喜は薄いが、苦渋(地獄)という束縛もない。解放されているが不自由である、目だけが異様に独立し離脱している。
絶命してもなお、精神は活力をもって自由を求めているのだろうか。現世に残した気がかりは誰にもあるに違いない。
写真は『マグリット』展・図録より
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