![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/d1/2c3d3e973783ecb90402932e1221b9c4.jpg)
『テーブルにつく男』
木炭で描いたスケッチ(下書き)である、上記のタイトルであったかも不明の絶筆。
男の着衣、首・頭部が欠如しているが、身体そのものも疑われる。テーブルのうえには本があり、それを手が抑えている。手首から切り離された手は果たして人間のものか石膏(あるいは石)で作られた疑似的なものかは未完ゆえ不明。
本を抑えている、つまりは観念の否定である。教え込まれた思考への反感・疑惑・不審、答えはあったのだろうか。
着衣を見て、中に入るべき身体の不在を確信するが、不在は現存を導き出す。
背景はダイヤとドットの連続模様である。平面であり、奥行きのある空間(自然・自由)の否定である。つまり自己認識により解放を認可しない精神・・・閉鎖的な心境の吐露ではないか。
ご破算で願いましては・・・マグリットの清算。
閉じた世界の中で本(思考における追究)に道を求めたことへのやるせない慙愧。果たして(わたくし)は存在したのだろうか・・・。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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