続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『テーブルにつく男』

2017-03-18 06:50:08 | 美術ノート

 『テーブルにつく男』

 木炭で描いたスケッチ(下書き)である、上記のタイトルであったかも不明の絶筆。

 男の着衣、首・頭部が欠如しているが、身体そのものも疑われる。テーブルのうえには本があり、それを手が抑えている。手首から切り離された手は果たして人間のものか石膏(あるいは石)で作られた疑似的なものかは未完ゆえ不明。

 本を抑えている、つまりは観念の否定である。教え込まれた思考への反感・疑惑・不審、答えはあったのだろうか。
 着衣を見て、中に入るべき身体の不在を確信するが、不在は現存を導き出す。

 背景はダイヤとドットの連続模様である。平面であり、奥行きのある空間(自然・自由)の否定である。つまり自己認識により解放を認可しない精神・・・閉鎖的な心境の吐露ではないか。 

 ご破算で願いましては・・・マグリットの清算。
 閉じた世界の中で本(思考における追究)に道を求めたことへのやるせない慙愧。果たして(わたくし)は存在したのだろうか・・・。 


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より) 


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