
『記憶』
女性の石膏像の頭部…女神像が多いギリシャ・ローマ彫刻のような時代の古さ、長い時間を感じさせる。
神格化された女性像のこめかみから流れ出ている(付着)鮮血はとりもなおさず《傷心》である。
さざ波打ち寄せる暗い海上、暗雲垂れこめた空はこの像を圧しているが、背後にある馬の鈴(心情・告発・言葉)は純白である。潔白・純粋・無心・無念・・・の想いではないか。
手前の傍らにある薔薇は《愛の証》であるが、持つべき手はすでに失われ、頭部のみの存在と化している。
『記憶』・・・現世に離れたエリアで、思いを巡らせる痛恨と残る愛への執着。
さあ、その鮮血(記憶)を拭いさえすれば・・・肉体(有機)から無機(石膏像)へと昇華していった霊魂の持つ記憶への哀悼の意である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)
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