
『大潮』
地球に対して太陽と月が直線状に重なる時、満潮と干潮の差が最大になる。
この画が『大潮』であるという。
差という意味では明と暗であるが、何を意図しているのだろう。フレームに入った景色は天空であり、それを支える岩は地上の産物である。、雲の有機、岩の無機・・・雲の三態、岩の不変。
闇の中の岩がフレーム(人智)を支えている。フレーム(人智)の中には青空や雲の自然に馬の鈴(伝説・風評・人心etc)が規則性をもって浮かんでいる。雲の形態は流動的で定めを持たないが、馬の鈴(伝説・人の心理)は天空をも網の目のように張り巡らされ、支配力(影響力)を持っている。しかしこれらが目に見えることは絶対に有り得ない。世界の中に浮遊し潜んであるからである。
つまりこれは見えないものを意思をもって表明し、見えるべき地上の岩に対峙させている。見えないが厳然として存在するものをフレームに収め、見えるもの(地上の岩)を暗躍するかのように隠した対比、大いなる落差の提示である。
写真は『マグリット』展・図録より
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