
『火の時代』
空と海との境も判別不能な景色の中、インディアンらしき男が手に火のような炎を発する玉を持っている。火らしきものは気体というより板状(個体)である。
時代を特定できないが、『火の時代』だと称し、白い球に包まれた赤というより赤茶の炎状の形態が立ち上っている。男は原始人ではなく、インディアンであって頭部の羽根飾りは最低限の服飾をも意味する。
要するに文明の起源は『火』によって始まったということかもしれない。
原始地球、氷河が解け始め『水』が安定的に満ちた地上に、熱と光を出す現象としての『火』を人間が主体的に保存、使用することが出来るようになった時代への敬意である。
赤い雲が浮かんでいるが、不吉の予兆とも、雲からの火(雷電光/自然発火)の暗示ともとれる不穏が隠れている。
火は生活の糧としてのエネルギーであり、戦いのための武器であり、祈りの象徴でもある。
その火を得た《知の目覚めである時代》の眺望であり、大きな変革の時としての『火の時代』だと思う。
(写真は新国立美術館『マグリット』展・図録より)
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