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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『弁証法礼讃』②

2018-09-20 06:52:22 | 美術ノート

 リアル感の乏しい平面的な外装や薄曇りの空、そこに設えた窓から見える景の中に、建屋が内包されて見える。
 窓は全体の中の一部である、その一部分から窓を所有する建屋全体が見える。窓の内部の部屋に鎮座しているという不思議な(矛盾した)光景。

 この光景の矛盾を解けという命題である。
 背景が描かれていないが、地上からどれだけ離れているのかは不明である。中空という設定だとして、焦点はこの部屋に内包された一見の建屋にある。
 大は小を含むが、小は大を阻むのが通常の見方である。逆遠近などでもなく、物理的法則の否定は現実にはない現象である。

 ただ時間という条件を与えるならば、生物の連鎖(DNA)において個が複数を孕むということは周知のとおりであり、矛盾は解消される現象がある。
 個の中に世界的視野を持つということも決して幻想などではない。

 窓から見える複数の窓を持つ建屋の全体が室内に納まる現象は、矛盾の肯定を証明する術である。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


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