
リアル感の乏しい平面的な外装や薄曇りの空、そこに設えた窓から見える景の中に、建屋が内包されて見える。
窓は全体の中の一部である、その一部分から窓を所有する建屋全体が見える。窓の内部の部屋に鎮座しているという不思議な(矛盾した)光景。
この光景の矛盾を解けという命題である。
背景が描かれていないが、地上からどれだけ離れているのかは不明である。中空という設定だとして、焦点はこの部屋に内包された一見の建屋にある。
大は小を含むが、小は大を阻むのが通常の見方である。逆遠近などでもなく、物理的法則の否定は現実にはない現象である。
ただ時間という条件を与えるならば、生物の連鎖(DNA)において個が複数を孕むということは周知のとおりであり、矛盾は解消される現象がある。
個の中に世界的視野を持つということも決して幻想などではない。
窓から見える複数の窓を持つ建屋の全体が室内に納まる現象は、矛盾の肯定を証明する術である。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます