
『風景の魅惑』
垂直に立つ額縁、すでに不条理な世界である。額縁があれば風景はその中に収められているものと思う。しかし何もなく透けて見えるのは背後の漆黒、闇である。
PAYSAGE、風景と記された額縁、鑑賞者はあらかじめ与えられた観念(過去のデータの集積)によって判断する傾向にある。
血の色をした赤い壁に立てかけられた猟銃は《死》を想起させる。あたかも額縁の中の風景(世界)をぶち抜いたような関係を匂わせており、少なくとも否定の暗示を感じてしまう。このほとんど直線のみで構成された画には自然(風景)の片鱗すら見当たらない。魅惑されるべき風景が見当たらないのである。
この眺めの中にあるものは、不条理と空漠、暗澹たる深淵であり、死を境にした精神界の混沌である。
写真は『マグリット』展・図録より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます