
我々は地球という家の住人である。という前提に立てば解釈は可能になるのではないか。
地球の精神はあるがままの自然であるが、自然ということが正しいという基準に想定すれば、遠近法による床(板目)や腰板の平行直角の整然は肯ける。
それに比して《幕の宮殿》の変形(歪み)は、人類の精神の形の暗示に見える。
本来自然の形態をもつ地球と人為的に造りだした平行直角を逆転させたのは皮肉である。
漆黒のパネルは歴史の闇である人類の苦悩、戦争による悲惨などであり、未来へ続く通気口でもある。
馬の鈴(人類の主張、伝承など)による天空に散在する雲(大気と水)や緑(自然)を我が物として所有する権力の象徴である宮殿は、地球に於ける幕(仕切り)であり、始まりと終わりを垣間見せたものにすぎない歴史の遺物(の展示)である。
(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)
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