
『急速な裸体に囲まれた王と女王』
急速な裸体という描写はなく、不条理という前に構成が成り立たないが、この有り得ない時空が狙いの作品である。王と女王がこの有り得ない時空に囲まれているという言明不可を重ねている。
そしてこのタイトルの等しく描かれたらしい作品を見ると、やはり不明である。混沌…この中の何がタイトルに等しい意味を持ちうるのか、考えるまでもなく考えることを拒否、否定されるような不明がある。
いかにも・・・強引に結びつけようとすれば《記号》のように解体された破片に意味(『急速な裸体に囲まれた王と女王』)を重ねることも可能かもしれない。(かもしれない)というだけであって経験上の情報である知識とは合致しない。
王と女王を囲む裸体は誰か? 従属の家来を想起させるがそんな説明はなく、勝手に思い描く(脳)が潜在し、掠めるかもしれない。裸の家来、ならば王と女王も裸であり見分けはつかない。上も下もないことを作品は嗤っている。
第一、空間そのものが偽空間(二次元)であって、総ては霧消する。意味の崩壊、制度の破壊、世界への挑戦状であるこの作品は、みなすべからく裸体であり、所有はなく、急速としか思えない生の時間を比喩したものに違いない。
写真は『DUCHAMP』 www.taschen.comより
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