ゴオーッと音がした。小高いところにある家の庭の樹が切り倒された音である。
(ああ、あの木…タイサンボク。)
あの下の家に覆い被さるようになっているのかもしれない。翌日には業者が二人がかりで切り落とした枝葉を括りつけていた。
タイサンボクの花は白くて大きくて立派、見とれるほどに美しい。遠景ながら、季節ごとにそれを眺めていたわたし、ざっくり伐られ、樹の切り口だけになった裸木にため息をついた。
小高いところにある家の住人をわたしは見たことがないが、下の空き地で草取りなどをしていると、「もうそろそろ日が暮れるからやめた方がいいんじゃないの」など奥さんの声がし、それに応える旦那さんの声を聴くこともある。一年中草木の手入れに暇がないのかもしれない。
ムクドリが集結する樹もあるし、わたしが落果を拾う梅の木もある。下から眺めてるだけの樹々であるけれど、伐り落とされたタイサンボクを思うと少し寂しい。
最新の画像[もっと見る]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます