
『出現』
楕円、円形に囲まれた中の暗黒と8の字がほどけたような中の暗黒。
二つのものが曖昧模糊とした淀みの中に浮遊している。
これは何だろう。
「ゼロ/0」と「無限/∞」ではないか。
《ゼロ/0》の出現である、発見と言ってもいいかもしれない。足しても引いても変わらず、かければ必ずゼロになり、正負を分ける重要な数字である。
限りなく0に近い数字で割ると数が巨大になるということから、ゼロと無限は近しい関係のように思われるが、《ゼロ/0》は数字であり、《無限/∞》は概念である。
現実にはない《ゼロ/0》の出現、菱形の連鎖は現実に数えられる数字、点の集まりだと思う。
《無限/∞》は曖昧模糊とした淀みの中に溶けかかっているが、限定不能な概念であり、メビウスの輪のように、表裏を通り元に戻るというものではないということかも知れない。
しかし、どちらも人類の叡智における『発見/出現』であることは間違いない。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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