goo blog サービス終了のお知らせ 

続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

ホッパー『海際の部屋』②

2020-11-10 07:09:07 | 美術ノート

 青い海の水平線、部屋を淡くやわらげる陽光、光は白く斜線を描き差し込んでいる。
 壁に掛けられた額、家具やソファが左端の隣室に覗く。きわめて落ち着きのある平和な暮らしが垣間見える『海際の部屋』。
 何らかの時代を経たかもしれない。明日は何が起こるか未知の時間を前に、今は静かに安らいでいる。この切り取りは《祈り》のようでもある。

 永久の平和・・・安らぎに満ちた空間は人を優しく包む。生きていることの充足感の満喫できる幸福な部屋(時空)、ここに争いはない。華美でも贅沢でもなく、ただ水平線(平和)と日の光と部屋(生活)の約束がある。必要十分な条件が揃っている。

 この一枚に出会った至福を胸に刻みたい。


 写真は『HOPPER』(岩波 世界の巨匠)より


『飯島晴子』(私的解釈)流灯会。

2020-11-10 06:48:10 | 飯島晴子

   流灯会果てたる山の容(かたち)かな

 流灯会(燈籠流し)、数多の灯り(蝋燭の炎)であふれ明るく輝いていた水辺も、催しが終了すると暗く沈み込み、今まで消えたように息を潜めていた山の稜線がはっきり夜空に浮かび上がって見えた。

 流灯会はル・トウ・カイと読んで、縷、道、悔。
 果てたる山の容はカ・サン・ヨウと読んで、過、惨、遙。
☆縷(細く連なる)道、悔いる過(あやまち)、惨めに遙(彷徨っている)。

 流灯会はリュウ・トウ・カイと読んで、隆、謄、皆。
 果てたる山の容はカ・サン・ヨウと読んで、可、賛、様。
☆隆(盛ん)に謄(書き写す)皆(すべて)を、可(良い)と賛(称え)、様(手本)にしている。


R.M『星座』②

2020-11-10 06:23:10 | 美術ノート

 星座、人々の申し合わせの中でのみ成立し、存在すると信じられている架空のものであり、有るが、無いものである。
 夜空を見るに、便利かつ夢想の世界に浸れるツールでもある。言葉、観念としての媒介は、天空界への共通の手がかりとして多くの人が肯定している。しかし、だれもそれを本当に信じている人はいない。信じていないが信じているのである。

『星座』、この作品に星座なるものは見えない、第一雲に被われた空は真昼の態である。《存在するが、無いのである》見えないことは無いことに等しい。
 星(宇宙)は存在するが、星座(空想)は存在しないから二重の意味で昼の空には星座は見えない。

 見えないものを有るとする星座(物語の時空)。ならば、黄色がかった海も一葉よりはるかに小さい小山も巨大な葉っぱの樹も支えを隠した緞帳も、「大家族」の象徴としてのオリーブや番の鳩も・・・全てあり得るに違いない、という逆説も通用するはずである。
『星座』はこの画の中に確かに見えている。


 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3533。

2020-11-10 06:14:40 | カフカ覚書

クラムが降りてきてくれたら、わたしの腕前を見せる決定的な試練となっていたことでしょう。ついでながら、わたしは、この試練をすこしも怖れてはいませんでした。むしろたのしみにして待っていたのです。

☆彼が来たなら、ペーピにとって決定的な試みになっていたでしょう。それにしてもこの試みをすこしも怖れてなどいませんでした。むしろ喜んでいたのです。