青い海の水平線、部屋を淡くやわらげる陽光、光は白く斜線を描き差し込んでいる。
壁に掛けられた額、家具やソファが左端の隣室に覗く。きわめて落ち着きのある平和な暮らしが垣間見える『海際の部屋』。
何らかの時代を経たかもしれない。明日は何が起こるか未知の時間を前に、今は静かに安らいでいる。この切り取りは《祈り》のようでもある。
永久の平和・・・安らぎに満ちた空間は人を優しく包む。生きていることの充足感の満喫できる幸福な部屋(時空)、ここに争いはない。華美でも贅沢でもなく、ただ水平線(平和)と日の光と部屋(生活)の約束がある。必要十分な条件が揃っている。
この一枚に出会った至福を胸に刻みたい。
写真は『HOPPER』(岩波 世界の巨匠)より