続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

Ⅲ-3-7 〔無題(鉛の葉 桐)〕

2020-01-10 07:02:23 | 美術ノート

   〔無題(鉛の葉 桐)〕

 葉が朽ち落ちても鉛に還元されることはなく、形を留めることすらない。
 しかし、命ある往時を偲ぶ・・・作家の計らいである。
 三枚の葉の形は酷似しているが三枚ともみんな異なる個性を持っている。

 物言わぬ言葉を持たない葉、沈黙に生き沈黙のまま消えて行く。この寂寥に共感し、一枚一枚にその証を刻んでいる。
 光合成で酸素を供給してくれる偉大な存在である《葉》にたいする拝謝・敬愛の念。

 飛葉・・・空気の振動は秘かにも奏でられ、美しい音色を放つ。
 この世界(地球)の歴史を支えてきた陰の立役者は無名・無冠のまま姿を消していく定めを黙って肯定する。
 若林奮は一枚一枚に哀悼の意を捧げ、地球の緑(森林)を想い、秘かにもその時間を費やし謝意の墓碑を刻んだのではないか。

《飛葉》この命名に深く礼讃の念を抱くものである。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館


『忘れえぬ人々』65.

2020-01-10 06:46:49 | 国木田独歩

 大津は一寸と秋山の前にその原稿を差しいだした。

 大津はタイ・シンと読んで、他意・新。
 一寸はイツ・スンと読んで、逸・駿。
 秋山はシュウ・サンと読んで、修・算。
 前はゼンと読んで、全。
 原稿はゲン・コウと読んで、現・講。
 差しはサと読んで、査。


☆他意は新しい。逸(隠れたもの)を駿(すばやく)修(整え)、算(見当をつけると)全てが現れる。
 講(話)を査(明らかにする)。


『城』3334。

2020-01-10 06:34:49 | カフカ覚書

どの部屋のドアも完全にあけはなたれ、廊下は活気を呈し、にぎやかな小路のように人びとの往来がはげしくなったらしいからである。彼らの行く手にある部屋のドアは、Kが早く通りすぎて、役人たちを自由に廊下へ出してやれるのをいまかいまかと待ちかねているふうだった。この騒ぎのなかへ新しいベルがくわわつてひびきわたり、まるで勝利のお祝いをしているようだった。


☆ドアはすべて解放されていた。方法には活気があり、先祖の往来は、来世では狭い通路に渦巻いていた。ドアをKが通り過ぎたことで、明らかに無血の革命が待っていた。
 それと共に人びとすべてに解除(解放)が響き渡っていた。
 それは先祖の勝利の祝典のようだった。