Ⅲ-3-7〔無題 (鉛の葉桐)〕
Ⅲ-3-6〔無題(銅葉 霧)〕
Ⅲ-3-2〔無題(銅葉 ゆりの葉)〕
Ⅲ-3-5〔無題(銅葉 栃ノ木)〕
Ⅲ-3-4〔無題(銅葉 朴葉)〕
葬列…飛んで落ちゆく葉の数多。
名付けられず朽ちていく、時に踏まれて…哀れで淋しい定めである。しかし誰もなんとも思わないのは自然の理であり、そういうものだからである。
清明な空気をふるわせて生きているがごときのその生命の終わりを告げる。実に静謐で抗うことなき命の終末。
〔落葉松の方陣は〕
落葉松の方陣は
せいせい水を吸いあげて
(略)
一匹ごとに伝記を書くかもしれん
五輪峠
(略)
物質全部を電子に帰し
電子を真空異相といへば
いまとすこしもかはらない
宮沢賢治『春と修羅』より
全てに命があり、そのすべてに弔いの哀悼を捧げる。若林奮の永久なる世界観である。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館