マグリット『精神の自由』

　『精神の自由』

　波静かな海を背景に、陰部だけを被った裸婦が美しく凛とした表情で上方を見つめている。
　女としての誇り高い姿勢、堂々と胸を張り恥じらうことなく誇示することなく（わたくし）を見せている。
　右手は腰布に手を当てている。脱ぐことも厭わないが礼節をも軽んじない開放された自由を、左手に拝したパイプ（夫であるマグリットを暗示）に預けている。

　彼女は常に水平線（真理）に焦点を当てている。
　南中するころには見えなくなる二十六日の月は、太陽の光であたかも不在のように思えるが確かに存在することを知っている。

　この賢く美しい妻であるジョルジェットの『自由な精神』に支えられているわたくし（マグリット）である。


（写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より）

『山男の四月』６６。

「さうか。そいつはいゝ、それではすぐ呑まう。しかし、おまへさんたちｈのんでもだめか。」
「だめだ。けれどもおまへが呑んでもとの通りになつてから、おれたちをみんな水に漬けて、よくもんえもらひたい。それから丸薬をのめばきつとみんなもとへ戻る。」


☆どんどん二つ推しはかり、開（閉じたものをあけること）を願う
　訳（ある言語をほかの言語に言い換える）例（たとえ）がある。

『城』２７５８。

あの子は、またもとの少年にもどっていたのです。自分ではとてもこらえきれないようなことが、あの子の身に起こったのです。


☆彼はまた再びかつての氏族になっていたのです。彼に耐えることの出来ないことが起こったのです。