続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『旅人』

2015-07-13 06:45:23 | 美術ノート
 オブジェでできた球体、これは何を表しているのだろう。
 水平線上の闇に浮遊する球体は、ライオン・椅子・鏡・樽・トルソ・吹奏金管楽器・ミシン・緑の葉(植物)・新聞らしきもので覆われている。明らかに地上のものではない。

 そして『旅人』

 わたしたち人間は地上の生物である、重力圏において肉体は地に束縛を受けている。しかし、精神はどうだろう、重力に屈することなく自由なのではないか。どこへでも空想夢想を図ることができる。
 しかしながら、そこに道はない。指標をこの目で確認することは不可能である。つまりは自由ではあっても目指すべき目的の道標は存在しない。


 精神は闇の中で彷徨している。あらゆる迷いの中で浮遊している。
 マグリットの精神、椅子(しかるべき立場)トルソ(恋慕)ラッパ(主張)ミシン(生産)緑の葉(生きる糧/酸素・食糧)新聞(英知)自身を映す鏡、その他を抱えて寄る辺ない深淵を彷徨っている。

《いかに生きるべきか》は最大の課題である。
 そして、決して欠落させてはならないもの・・・それは他でもないライオン(百獣の王)にも等しい、人としての尊厳である。


 人はその重みを有しながらも、重力から解き放たれた精神をもって宙を探索する旅人である。

(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『銀河鉄道の夜』15。

2015-07-13 06:32:55 | 宮沢賢治
それをカンパネルラが忘れる筈もなかったのに、すぐに返事をしなかったのは、このごろ僕が、朝にも午后にも仕事がつらく、学校に出てももうみんなともはきはき遊ばず、カンパネルラがそれを知って気の毒がってわざと返事をしなかったのだ、さう考へるとたまらないほど、じぶんもカンパネルラもあはれなやうな気がするのでした。


☆謀(はかりごと)が活(盛ん)である。変(移りかわる)字を調(ととのえ)語(ことば)を悟(理解する)。
 詞(ことば)の示すものを楽しみ、講(はなし)を推しはかる。幽(死後の世界)に仏を運(めぐらせ)致(まねく)記を読む。
 遍(あまねく)弐(ふたつ)の講(はなし)を記している。

『城』2020。

2015-07-13 06:18:07 | カフカ覚書
これにたいして、シュヴァルツァーのほうは、村に住みつくという永続的な犠牲を彼女にささげた。しょっちゅう彼を連れもどしにくる父の使者たちを、彼は憤慨して追いかえした。


☆これにたいして、シュヴァルツァー(影の人)の方は、来世にとどまるという永続的な犠牲に屈服した。たびたび彼を連れもどしにくる先祖の使者たちに反抗していた。