熊本地方は温暖であるがうえに、風のない好く晴れた日だから、冬ながら六千尺の高山もさまでは寒く感じない。
☆幽(死者の世界)を翻(作り変える)。
字に法(神仏の教え)を隠した談(話)である。
普く講(話)を整え化(教え導く)。
套(被って)録(書き記す)。
遷(移りかわる)釈(意味を明らかにする)講(話)に算(見当をつける)。
換(入れ替えること)を貫く。
次ぎの日の未だ登らないうつ立野を発って、兼ての願で阿蘇山の白煙を目がけて霜を蹈み桟橋を渡り、路を間違えたりして漸く日中時分に絶頂近くまで登り、噴火口に達したのは一時過ぎでもあッただろうか。
☆字で化(形、性質を変えて別のものになる)で、魅(もののけ)を問う律(決まり)也。
律(決まり)の験(しるし)は眼(要)であり、吾(わたくし)は、粗(おおまかな)算(見当がつく)と吐く。
掩(隠して)黙っている、総てを套(隠している)。
算(見当をつけて)胸(心の中)を吐く。
露(現れる)幻の意(考え)は全て化(形、性質を変え別のものになる)で注(書き記している)。
二つの文は舌(言葉)で調える。
混ぜて套(隠し)、紛れるのは化(教え導くこと)の講(話)である。
達(意向を伝える)逸(隠した)字には化(教え導くこと)がある。
その日は未だ日が高い中に立野という宿屋まで歩いて其処に一泊した。
☆化(形、性質を変えて別のものになる)魅(ものけ)の仮の講(話)を注(書き記す)律(きまり)也。
粛(謹んで)常に簿(ノート)に記している。
諸(もろもろ)逸(隠れていること)を吐く。
「僕は朝早く弟と共に草履脚絆で元気よく熊本を出発った。
☆目(ねらい)を調べると、双(二つ)の態(ありさま)がある。
驚くことに総て相(二つのものが互いに同じ関係にある)。
規約の源の記は、幽(死者の世界)である。
翻(作り変えて)推しはかるのは初めてである。
「その次は今から五年ばかり以前、正月元旦を父母の膝下で祝って直ぐ九州旅行に出かけて、熊本から大分へと九州を横断した時のことであった。
☆弐(二つ)を混(いっしょにし)、語(言葉)で念(思い)の全てを招く。
合わせて現れる譚(物語)は普く簿(ノート)に質(内容)を解(部分部分に分けている)。宿(かねてからの)自記である。
句(言葉)を修(整え)慮(あれこれ思いめぐらせる)講(話)を推しはかる。
幽(死者の世界)に翻(作り変える)他意の文である。
句(言葉)を修(整え)応(他のものと釣り合うようにして)、談(話)に治めている。
その後今日が日まで殆ど十年の間、僕は何度この島かげの顔も知らないこの人を憶い起したろう。これが僕の『忘れ得ぬ人々』の一人である。
☆語(言葉)で教(神仏の教え)を化(教え導く)。
化(教え導く)他意は自由な念(思い)で兼ねている。
目(ねらい)は化(教え導くこと)に託す。
道(神仏の教え)を質(内容)に忍ばせている。
臆(心の奥)の記の目(ねらい)には亡(死)が匿(隠れている)。
腎(要)の尽(すべて)は、逸(隠し)任(委ねられている)。
船が進むにつれて人影が黒い点のようになって了って、そのうち磯も山も島全体が霞の彼方に消えて了った。
☆詮(調べて)審(正しいかどうか明らかにし)訊(問いただして)詠むことを告げる。
天の霊(死者の魂)を記す。
懺(罪の赦しを乞い)問う。
前(過去)の態(ありさま)の果(結末)の批(是非を判定する)法(神仏の教え)により償う霊(死者の魂)がある。
二三歩あるいてはしゃがみ、そしてなにか拾ろっている。自分はこの淋しい島影の小さな磯を漁っているこの人をじっと眺めていた。
☆弐(二つ)の算(見当をつけ)、字で和(調合し)重ねる。
二つの文は倫(人の行うべき道)として問う。
章(文章)の企てである。
霊(死者の世界)を尋ね調べている。
と見るうちに退潮の痕の日に輝っている処に一人の人がいるのが目についた。たしかに男である、又た子供でもない、何か頻りに拾っては籠か桶かに入れているらしい。
☆兼ねた他意を調べる。
魂を化(教え導く)記が諸(もろもろ)逸(隠れている)図りごとである。
腎(かなめ)を黙っている談(話)は幽(死者の世界)の章(文章)である。
田畑ある島と知れけりあげ雲雀、これはぼくの老父の句であるが、山の彼方には人家があるに相違ないと僕は思うた。
☆伝える将(あるいは)問う質(内容)を運(めぐらせている)。
着(ついて離れない)目(ねらい)に労(力を尽くす)。
二つを区(くべつして)算(見当をつける)。
化(教え導く)法(神仏の教え)の図りごとである。
和(調合する)双(ふたつ)の意(考え)の目(ねらい)の詞(言葉)がある。