夕焼け金魚 

不思議な話
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チンドン屋が怖かった頃

2013-11-29 | 創作
子供の頃、変なものが怖かった。白と黒のパトカーがなぜか怖かった。
それも駐車場とかに止まっているのが無性に怖くて、見ないようにして走って逃げた。
べつに警察の車だという事で怖いわけでなく、あの白と黒の模様が怖かった。
その他にチンドン屋が怖かった。チンチンドンドンと音を鳴らして、軽くステップをして歩いてくると物陰に隠れて覗き見てしまう。覗き見るのは怖い物見たさの感覚。
手甲脚絆に草鞋履きで三度笠や鳥追笠で顔を隠しているのが、なぜか怖かったのです。下から笠の中を覗くと白塗りの顔があって、時には女の着物を着ているのに男の顔があったりして、その顔が私が覗くと笑うのです。ニヤッと白塗りに赤い紅の顔が笑うのです。
それが男だったりしたとき、恐怖で顔が引きつったものでした。なのに、怖いのにいつまでも付いていったのです。最初はチンドン屋と一緒に周りには私の知った子もいたのに、いつの間にか知らない子供達の中に私だけがいたりして。
鉦と太鼓は定番ですが、相方は三味線だったりクラリネットだったりするのですが、なぜかもの悲しげなメロディーで、子供心にはみな同じに聞こえたのです。
夕日に染められた、坂道を昇って隣町に行くチンドン屋に連れだって行く子供達を坂の下から見送っていて、坂の上でみんなが見えなくなると恐怖に襲われて逃げ帰ったものです。
私の目から見えなくなったときに、あの子供達はどうなるのでしょう。
知らない街の子ですから、次に会うこともないのです。
私の心の中では、あの子供達は人さらいに売られるか、あの白塗りのおじさん達に食べられてしまうのです。
もう二度と会うことはないのです。
夕日の坂道って、どうしてあんなに悲しいのでしょう?

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