労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

資本主義を理解できないマルクス主義同志会

2011-02-12 01:54:19 | Weblog
 マルクス主義同志会を「社会主義者」と見なすのは微妙なところがあるのだが、その自称「社会主義者」が年金受給者をいじめないで欲しいという読者の抗議に答えている。

「『労働能力を有する』社会の成人でありながら、他人名の労働に規制(寄生の間違い、こういう日本語能力が絶望的に欠落している人物が誰であるかはすぐ察しがつくがそれはここでは言わないでおこう)するのは正しくなく、他の成人に負担を強要するに等しいと主張しているだけです。これは我々の社会主義の原則から必然的に出てくる結論であって、社会主義者として当然の立場だと思います。」

 ここでは労働者が日々の“労働”によって生活をささえていることが、ジョン・ロックのような自己労働にもとづく富として捉えられている。

 しかし、この資本主義社会で労働者の“富”が自己の労働にもとづくものというのはブルジョアの作り事でしかない。(アダム・スミスやジョン・ロックの時代は資本主義的な生産が未発達であり、商品生産が主であったのでこのような主張には一定の根拠があった。しかし、この理論はその後、ブルジョアの搾取による富を正当化する理論となっていった。)

 正しくは資本主義のもとで生産手段を持たない労働者が生活できるのは、労働者が自分の労働能力を資本家に売るからである。

 労働者は資本家に労働能力を売ることによって日々の生活手段を手に入れているのであるが、資本家に売った労働能力は資本家のものであって労働者自身のものではない。

 したがって労働者が資本家に雇用されて工場で労働するという場合、労働者の労働は自己のものとは現れないで、不変資本と合体されて資本の生産過程としてのみあらわれる。

 ところがマルクス主義同志会は、この労働力商品の売買も、資本による生産も搾取も否定している。そのようなことはあってはならないから存在しないのである。

 そして、このように労働者が資本家に労働能力を売るということによって成り立っている社会では、どんな高度の労働能力があっても資本家が買ってくれなければ、労働者は生活することはできない。

 日本だけでもそういう労働者は300万人以上もいる(!!!)というのにマルクス主義同志会の諸君によれば、そういう人は他人の労働に寄生している腐敗分子なのだそうだ。

 マルクス主義同志会が固執している労働者の労働は自己のもの(したがって労働の成果である商品は労働者のもの)という観点からは、搾取というのは不等価交換のことであるという第二の見解が出てくる。

 現実には労働者の労働能力を買った資本家が労働者の労働の成果を独り占めにして、自己が支払った労働力商品の価値との差額を自分のものにするのだが、マルクス主義同志会の見解はさらに大きな誤りを生みだす。

 つまり商品の価値が労働であり(これ自体は正しい)、商品の価値は資本家が労働者から盗んだ分(m=剰余価値)と盗まれなかった分(v=可変資本)からなるというのであれば、c=不変資本の分がどこかへ消えてしまうことになる。

 これはアダム・スミスの“v+mのドグマ”といわれるものであるが、リカードも基本的にこのスミスのドグマから逃れることはできなかった。

 そしてマルクス主義同志会もこの観点に固執している。

 そういう点では、マルクス主義同志会の“マルクス主義原理運動”というのは、基本的にマルクス主義から古典派経済学(ブルジョア経済学)への後退であるのだが、いまだによく分からないのは、どうしてこういうわけの分からないことをやる必要があるのかということだ。

 マルクス主義同志会は21世紀に入って、ひたすらこういう愚劣で不毛な試み(マルクス主義を古典派経済学まで後退させようという試み)を続けてきた。

 W・Hの頭がおかしくなったからというのは、なんとなく理解できる答えのようだが、実は答えにはなっていない。

 それは現在のマルクス主義同志会の狂気は狂気にとどまっていないということだ。

 それはここでいわれている問題、すなわち、失業者の大群をどうしようか、という問題はすでに現在の政治問題になりつつあるからだ。

 リーマンショックの時、派遣労働者が一度に大量に失業したが、その時、政府(当時は自民党だった)、民主党、民社党はこぞって失業した派遣労働者に生活保護を受けさせることで問題を解決しようとした。

 その結果、生活保護の受給者は増大し、国や地方自治体の財政を圧迫しはじめている。

 そこでブルジョアマスコミは失業者が働きもせずに(!)遊んでいる(!)というキャンペーンを始めている。

 マルクス主義同志会は、客観的に見れば、ブルジョアによる失業者圧殺の道を彼らに先がけて掃き清めているのである。

 こういう芸当が単なる狂人にできるのかという問題はこの組織の場合、つねにつきまと