しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「きたきた捕物帖二 子宝船」 宮部みゆき

2024年05月08日 | 読書
「きたきた捕物帖二 子宝船」  宮部みゆき   PHP 

第一話 子宝船
ある日、北一は『長命湯』で喜多次が拾って来た焚き付けになるガラクタの中に宝船の絵を見つける。
その絵は弁財天が後ろ向きで、同じものが数枚あった。
変わっている事を面白がり、北一はそれを貰って来る。
その後、北一は貸本屋の村田屋治兵衛から宝船の絵にまつわる不穏な話を聞く。
「酒屋がお年賀に配った宝船の絵のせいで、生まれたばかりの赤子が死んでしまった」と。
それは段々噂になり、酒屋の伊勢屋の源右衛門に責任を詰め寄り人が出て来る。
この話の裏があることを北一は気が付く。

第二話 おでこの中身
長月の十日、お弁当屋の桃井の家族、夫婦の角一とおつねと、もうすぐ3歳になるお花が毒で死亡する。
梅雨に入る前に、四ツ谷で小さな飯屋をやっていたが、おつねが筋の良くない客に見込まれてしまい、深川に引っ越して来ていた。
検視の与力栗山周五郎は、これは一家心中ではなく殺しだと、分かった事を北一に教える。
北一は、事件のあった日、野次馬に中に、首に銀杏の入れ墨のある不審な女を見ていた。

第三話 人魚の毒
桃井の親子3人を殺したとして、四ツ谷の時の客、久十が捕まる。
そして、自白した後、死亡する。これは、拷問の末の結末だと思えた。
しかし、その事に納得のいかない栗山と北一は密かに、銀杏の入れ墨の女を人相書きを配り探す。
そしてついに、その女を知っている男が現れる。
それは木更津湊の船着き場で荷置場の差配をしている半次郎だった。






「きたきた捕物帖」シリーズ第二弾。
3話からなるが、全部繋がって1つの物語になっている。
事件そのものの他に、その時代の与力や同心、岡っ引きの関係や社会の仕組みも多く書かれている。
時代もいつ頃になるのだろうと思っていたら、今回おでこが大人になって登場。
回向院の茂七親分の名前が出て、政五郎親分も登場。弓之助の消息もわかる。
北一の周りに集う登場人物もすこしずつ増えて、世界が広がって来た。
喜多次の事もまたほんの少し分かる。
これは結構時間が掛かりそう。
事件そのものは邪悪な人物が登場で、おどろおどろしいものになる。
今回の結末から、また新しい何かが始まるかも知れない。
全体にテンポがゆっくりなのは、まだ説明しなければならない事があるからか。
もう少し事件とじっくりかかわって、物語自体が面白くなって欲しい気もする。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「連環」 松本清張 | トップ | 「殺しへのライン」 アンソ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事