本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

「時の娘」再読

2014年03月06日 | 

「英国王妃物語」のエリザベス・ウッドヴィルの項を読み終えて、
あっリチャード3世ね!と思いだして、「時の娘」を本棚から取り出し復習。

英国王妃物語 (河出文庫)
森 護
河出書房新社

↓ またしても、イモヅル式読書。

時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)
ジョセフィン・テイ
早川書房

初めて読んだ時は、薔薇戦争の経緯がよく分からなくて、
しかも系図の難しさがあだとなり、何となくあいまいな感じで読み終えたのでした。
でも「英国王妃物語」のおかげで、ほんの少し事情が分かりやすくなったような気が…。
ていうか、「英国王妃物語」で???と疑問に思ったことに別の視点から光があたったような…。

例えば、なんでそこでヘンリー・テューダーがしゃしゃり出て王位を継ぐのとか。
エリザベス・ウッドヴィルについては本でもネットでも色々言われてるけど、
エドワード4世の血筋(ヨーク家)が欲しくてヘンリー7世(ランカスター系)は彼女の娘と結婚した訳でしょ、
腐っても皇太后なのにヘンリー7世は彼女を疎んで尼僧院に追いやったけども、
娘のエリザベス王妃は何もできなかったの?とか。

「時の娘」路線で想像すると、ヘンリー7世はもつれた親戚関係を利用した野心家だったのかなあ、と。
エリザベス王妃は、結婚して王位を正統化できればこっちのもんだ的に、
夫にいいように利用されちゃったんだろうなあ、と思いました。
でもまあ、エドワード4世時代にウッドヴィル一族がにわかに台頭したことを思えば、
(そしてエドワード5世が即位する時にも彼らが権力を求めて暗躍したことを思えば)
身贔屓のエリザベス・ウッドヴィルのことは抑え込むしかなかったんだろうな、ヘンリー7世は。
権力の座につくと、ライヴァルや反乱分子を徹底排除したくなるものだろうし。
またそれをしないと、いつ王位が覆されるか分からないものね。
日本人の感覚的には源平合戦だなあ、これは。
(そもそもエドワード4世は周囲を説得せずに簡単に結婚しちゃだめだよ!
これまでの『英国王妃物語』読んでいたら、政略結婚がいかに当時の常識か実感したし、
好きな女だからと真っ当な手続きを経ずこそこそ結婚する王なんて、どこまで能天気なんだと思ったよ。
キング・メーカーはエドワードの鈍感さにさぞかし苛々させられたんだろうなあ)

「時の娘」ではおかたい歴史学についてユーモアたっぷりに批判しているのだけど、
確かに歴史上の人物を血の通った人間として考える想像力って、教科書では芽生えにくい。
だから矛盾が矛盾のまま、普通にまかり通るし、苦しい説明でつじつまを合わせるしかなくなる。
正史は勝者によって作られるものだから、もっと不信感をもっていいんだよね!と改めて思わせられました。
(近現代だって、あったことをなかった、あるいはなかったことをあったと言い張り続けることで、
人は平気で歴史を改変しようとしているものね…。
それに、物語的に面白い解釈を好んでいるうちに実態はどうあれ、そのイメージが巷に根付いてしまう。
ほらほら、義経とか忠臣蔵とか)

では何を拠り所に過去の人々の生きざまを想像したらいいのか、というと、
やはりごまかしの少ない普通の人々の記録(帳簿・手紙・議事録・日記・出生死亡記録等)なのだろうな。
あるいは、作為を入れる必要がない時期の他国の記録。
情報をなんでも丸呑みこみにしないで、裏には何が見えるか、誰が得をするのか考察するべきなんだろう。
(わたしは単純なので、自分の頭で考えず識者の解釈をすぐ受け入れがち…反省)

と、ここまで書いて、前回書いた「時の娘」初読時の感想を読み返したら、
今回とほとんど一緒の内容だったよ…。変わらないなわたし。

まあ、何はともあれ面白かったです。
今度は寄り道やめて「英国王妃物語」のヘンリー8世の王妃たちの項に戻らないといけないと思うと頭痛いけど。
やめて何度も離婚再婚とか!妻多い!ただ混乱する!
(ヘンリー8世の生まれ変わりが現代にいたら、コンコンと膝詰説教3時間だよ。
エリザベス・テーラーの履歴読むほうがまだ楽しいって言ってやるよ)


ところで、ホワイトデーのお返しとして、夫にねだった本が届きました。

類語国語辞典
大野 晋,浜西 正人
角川書店

角川版類語辞典。前から欲しかったんだ…。わーいわーい!


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2 コメント

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Unknown (ももよ)
2014-03-18 08:15:46
桜雪さん、こんにちは。ご無沙汰しております。ももよです。
春らしくなり、暮らしが少し楽になりました。最近読んでいる本は、D・クロンスビーの警視シリーズです。キンケイドダンカン警視が活躍する「警視の休暇、警視の隣人、警視の秘密」と3シリーズ読みました。
スコットヤード巡りしてみたくなります。桜雪さん、ご存知かも。後は、BSプレミアムで午後四時から、シャーロックホームズも見てます。警視シリーズといい、シャーロック、刑事コロンボといい、時代遅れだけど、面白いものはいつの時代でも面白い!!

ちょっと、今朝は落ち込んでます。夫が会社の飲み会で、女性社員が専業主婦批判してたそうです。
要は社会保険のこと。私は夫の扶養に入っており、国民年金は第三号だから、健康保険と年金の自己負担がありません。それが気に入らないらしく、まあ、話はわかるんだけどね。

桜雪さんに、愚痴ってしまいました。ごめんなさいね。
季節の変わり目で、気温差あるので、体調には十分お気をつけください。

花粉にも。街中マスクだらけです。

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☆ももよさんへ☆ (桜雪)
2014-03-25 18:51:24
コメントありがとうございます!
お返事が遅くなってごめんなさい。

警視シリーズ、いつか読もうと思って、一作目を家に置いています(積読です…)。どんな感じのお話ですか?クラシックな雰囲気のミステリかしら。最近長編シリーズものは、一冊読めば全部一気に揃えたくなってしまうので危ない危ない、と思うのですけど、魅力的な本にはなかなか抗えませんよねえ。
そうそう、ホームズはこれからNHKが色々特集を組んでくれるらしいですね!5月の「SHERLOCK 3」日本放送に合わせて。ももよさんがご覧になっている、放送中のグラナダ版ホームズも嬉しいですね。わたしはあの映像で世紀末倫敦にあこがれるようになったんですよ~!

専業主婦批判の件、伝え聞かれて少しもやもやされてしまったんですね?
うーん…。その場でどういういきさつがあって、どういう意図でその方が発言されたのかは分からないことですしね。うかがった限りではお酒が入った席での社会制度に対する一般的なお話だと思うので、あまりお気になさらないで…と思います。
間接的に聞くと、詳細が分からないから自分の存在まで否定された気がして、わたしも多分もやっとしちゃうかと思いますが。でもまあ、異なる価値観が併存する民主主義国においては、誰からも批判されない立場なんて、きっとないと思いますし、ね。大丈夫ですよ。

ももよさんもお体にお気をつけて!冷えたり温もったり、本当に不安定な天気ですね。



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