きもの美 (知恵の森文庫)白洲 正子光文社このアイテムの詳細を見る |
美意識の高い人というと、自他に厳しく、とっつきにくいというイメージがある。
白洲正子さんの著書を今まで読まなかったのは、
その美意識についていけるか自信がなかったせいなのだが、
今回『きもの美』を読了して、なんとなく安堵した。
一流の人は、自分の求める美をぐいぐい追求していくから、
未熟な初心者に対しては、温かい眼差しを持っているみたい。
案外気さくに、色々教えてもらったなあ、という印象でした。
なるほど、と頷いた言葉は、
“人に見せるのでなく、自分がたのしめばよい。きものはその為にあるのです”
“先ず、「きものが着たい」そう思うことが大切です”
“ものは程々に投げやりなのが美しい。(中略)
つかず・はなれず、-それがきものの調和です”等々。
着物は、年代から考えてコレ、と言う風に、
先入観だけにとらわれることはない、
自分に似合っているものを着ればいいのだ、ということ。
着物と帯、全体の取り合わせで考えたほうがいいこと。
失敗を恐れることはない、ということ。
至極もっともで、頼もしい助言なのでした。
この本は1962年の徳間書店版を文庫化したものだそうですが、
その年代にこの内容が、世間にどう受け入れられたのか、興味があります。
(見せびらかしのために着物を着る上流婦人や、
蘊蓄が言いたいがためにお店へ来るマダムや、
自分で物の良し悪しを確かめず、ブランドだけで売ろうとする商売人など、
作中で批判的に書かれている人たちが、当時は沢山いただろうし)
近頃白洲正子さんが再評価されているというのも、
時代のほうが追いついてきたってことなのかなあ?
伝統的なものへ敬意を表しながら、新しい波も受け入れる、
自由な審美眼の持ち主。
やはり、格好いい。
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