要約できない人生のあれこれ

気ままに日々のこと
いきづらさを抱えて。なんでもない日常のこと。ごみ捨て場。届かない。

行かないで、行かないで。

2015-10-30 15:56:36 | 日記






最近ハートが、いとうくんがお仕事に行こうとすると

彼の足元にまとわりついて、飛びついたり、手をかけたりして

つよくにゃーにゃーと鳴くようになった。


それは、

いかないで、と言っているようで

まるで少し前の私を見ているようで

くるしいときの私を見ているようで

初夏にくる淋しさ哀しさのようで

胸が痛んだ。



いとうくんはお仕事いっちゃうけど、また帰ってくるよ。

そう言えたら、ハートは安心するかな。

それとも、それでも行かないで、って、言うかな。

いとうくんがいなくなっても、私がここにいるよ、と

ねこたちに伝え続けたいと思った。



レグルスも初めは一匹で飼っていて、

出かけるとき、なんだか淋しそうにしているのがつらくて

お友達として他のねこをブリーダーさんから受け取った。

それがサクラ。もういなくなっちゃったけど。

うちの次女。

そして、傷が癒えたころ、もう一匹のねこの里親になった

それがハート。うちの、いまのところ末っ子。



話せたらどんなにいいか、いつもそう思う。

帰ってこないかもしれないっていう不安は、ねこにでもあるのだろうか。

私は分離不安の気持ちがわかるから、なんだか心配になってしまう。


ことばで話すことができないから、私が撫でてあげる。

だいじょうぶだよ、の気持ちを込めて。






どうしてもさよならが、もう二度と会えないような気になってしまうのだ

言われても、わかるけど。わからない。

どうして離れられないのかわからない。

ひとりになるのがこわかった、のかな。

どうしてもどうしても、だめなのはわかってるのに、離れられなくて

好きなひとのうちに行ったときには、頑張って頑張って

勢いをつけて、振り返らないようにして、

またねをした

踏み出してみると、一人でもすたすた歩けた

離れるまでが、ほんとうにたいへんなのだ

私にとって、それが恋愛における一番の障害だったかもしれない



だから、ハートのあの、普段鳴かないような鳴き声に

私は自分を重ねてしまう。

ハートは生まれてすぐに、乳飲み子だったころにひとり、はぐれて

保護されたそうだ。

だから、よくわからないのかな。不安なのかな。

安心なひとと離れるのが、すごく、恐いのかな。

だからあんなふうに鳴くのだろうか。



一歳になって、毛布をもみもみするようになった

お母さんを、よく知らないハートが、そんなことをするようになった

だぶん、いとうくんのおかげなんだろうなと思う



私も、いとうくんと離れたくなかったあの日のことを思い出す。

時間になったのに、帰ろうとして、帰ろうとして、頑張ったけど、帰れなくて。

一生懸命走った。逃げた。そしたら、いやでも、帰らなくちゃいけなくなるから。

無理やり。もうそうするしかなかった。

追ってこないだろうと思った。だけど、何度も、何度も、彼は私を追いかけてきた。


帰らなくてもいいんだよ、と、いまと変わらないやさしさで包んでくれた、

あの日のことを思い出す。

そんなやさしさ信じられなくて、それからも何度も逃げたりして、試した。

だけど、だけど。いつも本気で私を探してくれた。

私のオアソビに付き合ってくれた。向き合ってくれた。

自分でもくだらない茶番だと思っているのに、いつも彼は真剣だった。。






まるで私たちは、私は、ねこと一緒で

いつも三人でいとうくんの帰りを待っている。

私もいとうくんといると、安心。

ハート、一緒だね。