「時に空白は白いシミみたいに目立つ」 2017-02-02 14:48:15 | 作詩 あのひとの不在は その事実だけが まっしろく、……ちがう。 透明でひかっていて 黒ずんで影をつくる 空白であるはずのそこは ただただまぶしくて 目がくらむ 圧倒的な あのひとの不在は 黒いワンピースについた ねこの毛みたいに こんなにも目立ってしまう そこには何もないはずなのに ワンピースについた毛を ころころで取りながら あのひとの声を再生させた あなたがいたから、あなたがいない わたしにわかることは ただ それだけのこと
「秋空に星」 2017-02-02 14:41:20 | 作詩 どこまでも澄んだ空 いちょうの葉がちらちら揺れる 「星みたいだな」 毎年 そんなテキストが浮かぶ 空に近い葉が 風に吹かれて きらりきらりって ひかりをあつめて光る くるり舞って落ちる葉は まるで 星が降ってくるようで 目の前を 横切ってゆくひかりは 手を伸ばせばつかめそうで でも ふれてしまったらきっと くしゃりと形をなくしてしまうから 私は出しかけた手を そっとポケットに仕舞う